サブアパチャスティッチング干渉法が高度な自由形状オプティクスを改良
自由形状造形技術は、改良されたダイヤモンド旋盤、研削、研磨装置により大きく進歩した。しかし、自由形状面の試験は、大きな課題を残している。
2000年代の早期から自由形状オプティクスへの関心が急速に高まっており、これは特に過去5年について言えることだ。「自由形状」という用語は標準化された技術的定義をもたない
が、その最も制限的な定義では、それはいかなる対称性ももたない表面ということになる。しかし、より広い定義では、どんな表面タイプであれ、そのサグ式は1変数ではなく2変数関数として表されなければならない。この定義は、製造には適している。製造と試験装置の複雑さは、その第2の変数を加えることで増加する傾向があるためだ(たとえば、付加された並進と場合によっては回転機械軸である)。
球面、円筒形、非円筒形、回転対称非球面は、この定義では自由形状ではないが、トロイドは自由形状である。非球面の軸外セクション(たとえば、軸外パラボラ)は、グレイ領域に入る。つまり、軸上(原型)座標系では1変数の関数であるが、局所(軸外アパチャ)座標系ではその対称度が欠如している。その結果、軸外非球面は、標準的な非球面のように設計、仕様化することが可能かもしれないが、製造には、また可能ならその試験には自由形状タイプの装置を使ってもよい。
自由形状製造技術は、改善された多軸ダイヤモンド旋盤、研削機、研磨機により著しく進歩した。しかし自由形状面の試験には、大きな課題が残っている。従って、ここでは光学表面の試験に使用されるさまざまな方法、またこれらが自由形状にどのように適用されるかについて考察する。
形状測定は、非球面形状測定向けの簡便かつ費用効果が高い技術である。しかし自由形状は多面スキャンを必要とするので、シングルスキャン表面形状測定器ではなく、多軸(3D)表面形状測定器、つまり座標測定器(CMM)が必要になる。3D表面形状測定器は柔軟性が高いので、横方向の分解能と精度要件が厳しすぎなければ(長波長・非イメージングアプリケーションなど)、自由形状測定には実用的な選択である。
表面がより高精度のアプリケーション(可視波長および短波長のイメージングアプリケーションなど)で使用される場合、一般にCMMは表面仕様を満たすのに必要な横方向の分解能と精度が不足している。その場合は干渉法が選択されるが、干渉計で簡単に試験できる表面は著しく限られている。球面に対する干渉計テストは非常に簡単であるが、非球面ではより複雑になる。つまり特殊なヌルオプティクス(光学素子)の設計と製造が必要になる。要は、特別なスキャニング・スティッチング非球面干渉計ワークステーションが必要になる。
自由形状では、状況はもっと悪くなる。極めて多様な形状向けに設計された種々の干渉計ワークステーションは存在せず、またヌルオプティクスの設計はもっと難しい。コンピュータ生成ホログラム(CGH)ヌルは恐らく、自由形状面測定には最も一般的な干渉計術であるが、個々の自由形状に対する特注CGHが必要となり、またアライメントには長い時間がかかる。
サブアパチャスティッチングは、専用のヌルなしで、さまざまな非球面の計測には強力で柔軟性の高い技術であることが証明されている。スティッチングの最近の強化により、CGHなしで自由形状面で干渉法を実証することができるようになっており、ヌルオプティクス製造の必要性はなくなっている。さらに、スティッチングにより優れた計測精度が可能になっている、これは特に一般的な自由形状に見られる中空間周波数特性で言えることである。
干渉計測
図 1は、非閉塞反射望遠鏡設計で使用される自由形状オプティクスの例である。表面サグの大部分は、最適球により記述され、100mm径開口部で凹面半径は~ 200mmである。残りの形状は、この球から大部分は非対称偏差~100μmである。
表面はまず特注CGHと4インチf/1.5透過球で計測された。ホログラムにアライメント機構が内包されていたため、CGHと干渉計とのアライメントは簡単であった。しかし部分的なアライメントはかなり時間がかかる。従来の球テストでは、アライメントエラーはXチルト、Yチルトおよびパワーにあり、また調整部は基本的には独立していた(すなわち、3つのアライメントノブが、チルトとパワーのそれぞれを独立に調整する)。ところが、自由形状面のアライメントは6つの自由度があり、これらは独立ではないので、フリンジヌリング(縞無効化)がかなり困難になる。
表面も、ヌルオプティクスなしで、プロトタイプ自由形状ソフトウエアを走らせて米QEDテクノロジーズ社(QED Technologies)のASI(Q)上で計測した。試験の基本原理は、回転対称非球面のノンヌルスティッチングテストと同じである。ヌルオプティクスで、参照波面をテスト面に合わせようとするのではなく、代わりに表面は球状波面に対してテストされる。非球面の大部分は、1回の計測で捉えるには、球から非球面に逸脱しすぎているので、スティッチングが必要になる。この例では、6インチf/3.5透過球と47サブアパチャの格子を使用し、十分にその部分をカバーしている(図 2a)。部分アライメントはソフトウエア支援で行われ、サブアパチャは自動的に取得され、スティッチされる(ユーザーの介入なし)。
2つの異なる干渉計法は完全に一致している。図2bは、図のエラーマップが定性的に一致していることを示している、またピークトゥバレー(PV)および自乗平均(rms)も遜色がない。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/07/LFWJ1707_FT2.pdf