ペタワット超高速要件を満たすメートルクラス、高LIDTオプティクス

1937年以来、仏サフラングループのSafran Reosc社は、高性能光学被覆とオプトメカニカルレーザシステムを開発している。目的は、フランスのAPOLLON10P、PETAL、多国籍Ex­treme Light In frastructure(ELI)プロジェクトなど、ペタワットクラスレーザ向け超短パルス(超高速)レーザビームの供給である。
 ブロードスペクトル幅に加えて、ペタワットクラス被覆は全波長範囲にわたり非常に高い反射率、極めて低い分散、また非常に高い損傷閾値が求められる、例えば20fsパルス幅で1J/cm2フルエンス値は今では珍しくない。そのように大きなハイパワーオプティクスの入手は、今日のレーザで増加が続くレーザピークパワーにとっては制限要因のままであり、Safran Reosc社は、仏ラボラトゥワール・ドプティク・アプリケ(LOA; 応用光学研究所)と仏インスティテュフレネルと協力して、3カ年R&Dプログラムに着手した。目的は、APOLON 10P向け世界最高のレーザ誘導損傷閾値(LIDT)のブロードバンドフェムト秒コーティングの開発である(1)。
 APOLON 10Pレーザ向けに、1022W/cm2以上の照射強度で10PWピークパワーを達成するには、多層誘電体被覆が広いスペクトル範囲にわたりエネルギーに耐える必要がある、これはまず第一にそのような超短パルスを作れるチャープパルス増幅(CPA)法によって決まる。仏Acal BFiは現在、Safran Reosc社の特注オプティクスやコーティングを商品化しているが、これらの製品は、高反射率と高い損傷閾値性能を維持しながら、ペタワットクラス被覆のスペクトル帯域を50%向上させている。

高LIDT材料の最適化

フェムト秒領域では、損傷メカニズムは電気的プロセスによって促進され、単に熱効果によるものではない。APOLON 10Pの被覆性能改善のために、Safran Reosc社のエンジニアは、電子ビーム堆積(EBD)誘電体材料のLIDTを研究し、高帯域の高反射(HR)および低分散スタックのレーザ耐性を向上させた。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/03/wn02_laser_optics.pdf