239nmで発振するAlGaNナノワイヤレーザ

過去数年で、レーザダイオードの短波長限界が可視光赤端から近紫外(near-UV)までは移動した。とは言え、アプリケーションは多い。例えば化学および生物化学センシング向けラマン分光学、表面分析、医療用途など、これらは深紫外発光レーザダイオード開発から恩恵を受けており、しかも電池駆動の可搬測定器が可能になる。
 レーザダイオードは、周波数を2倍、4倍にして、波長193nm以下のナローバンド出力の深紫外(DUV)光を生成できる。こうしたレーザは、エキシマレーザなど、他の深紫外光源よりもコンパクトで使いやすいが、従来型のレーザダイオードと比べると、とうてい小型、簡素、低出力で利用できるなどと言える代物ではない。
 カナダのマギル大の研究者は、室温動作、電気励起の239nm波長DUV、アルミニウム・ガリウム・窒素(AlGaN)レーザダイオードを作製した(1)。それに、プロトタイプのしきい値電流は、約0.35mAと極めて低い。

逆テイパーナノワイヤ

シミュレーションから、ランダム分布AlGaNナノワイヤは、240nmスペクトル領域にDUVフォトンを強く閉じ込めることが分かっている。研究者は、シリコン基板で損失が最小となるように逆テーパーナノワイヤ構成とした。
 製造工程では、ナノワイヤはシリコン基板上に自然に形成され、各構造の構成は、n-GaNコンタクト層、n-AlGaNクラッド層、AlGaN活性領域、p-AlGaNクラッド層、p-GaNコンタクト層となっている(図1)。研究チームによると、ナノワイヤのランダム配置によって生ずるフォトンの繰り返し散乱は、干渉となり、したがって強い光の局所化となる。

図1

図1 電気注入AlGaNレーザは、この図にあるように、逆テーパーナノワイヤのランダム配置になっている。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/03/wn1_laser_diode.pdf