STEPファイルと光線束を排除し光学機械設計を簡素化
SOLIDWORKSを組み込んだシミュレーションソフトウエアで光学機械設計のパッケージング、解析、評価する能力は、ワークフローを合理化し、設計と試作の繰り返しを減らすのに役立つ。
光学および機械エンジニアは密接に協力して光学系設計を実際の製品にしなければならない。残念ながら、光学設計フェーズと機械設計フェーズ間の移行はコスト高であり、エラーを起こしやすい。エンジニアが解決しなければならない多くの問題は、既存のワークフローと設計戦略の取り扱いが難しいことである。
光学、機械エンジニアは、統合性を欠いたツールを利用する別々の設計ソフトウエア環境で作業していることが多い。光学エンジニアのツールボックスは拡張したが、機械エンジニアが取り残されている。光学性能への機械的形状の影響を解析し確認し、光学機械公差を評価するツールがなく、マルチ設定向けの機械設計の最適化あるいはまた構造的・熱的変形解析を行うツールがないからである。
米グローバル・サージカル・グループ(Global Surgical Group)のロバート・メンツァー氏(Robert Mentzer)は、「われわれがパッケージングのための光学設計を準備するとき、念頭に置いているのは機械エンジニアである。それでも、引き継ぎ中に意志の疎通で問題に直面する」と言う。結果的に遅延、不要な設計の繰り返しや確認障害、さらには問題を特定するためにコストがかかる多くの物理的試作品の作製となることがよくある。
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光学設計から機械的設計に移行する際に光学データの完全性を保つことは、多くの会社にとって深刻な課題となっている。一般的な方法は、機械エンジニアがダッソー・システムズ(Dassault Systemes)のSOLIDWORKSにSTEP、IGES、あるいはSTLファイルとして光学システムをインポートし、光線束によって光伝搬の近似を得ることである(図1)。
この技術は、以下のいくつかの理由で設計を破壊する不正確さを導入することがよくある。
1. STEP、IGES、あるいはSTLファイルは光学機械設計の精度を劣化させ、光学公差、コーティングタイプおよび材料データが変換中に失われる。
2. 光線束は静的スケッチとしてインポートされる。これら光学的解析で使用される実際の光線の非常にわずかなサンプルを代表するものであり、設計変更でアップデートできない。
3. 機械エンジニアは光学エンジニアに頼って設計を確認するか、コストと時間がかかる物理的な試作品を作製して設計の問題を特定する。
機械エンジニアは、機械的形状が光学性能に影響を与えないことをチェックするための迅速な、あるいは正確な方法ももっていない。機械的形状への些細な変更でさえ、つまり光学データの不十分な完全性から来る不正確さが光学性能に大きく影響する。
機械エンジニアがSTEPファイルを検証のために光学エンジニアに送り返すとき、光学エンジニアは一貫性のないグローバル座標系および失われた設計の忠実性という難題に対処しなければならない、また手作業で個々の機械的構成要素を見つけて、機械エンジニアがSOLIDWORKSで作製したアセンブリを再構築しなければならない。こうした面倒で余分な作業を回避するために、スクリーンショット、ペンと紙、あるいは物理的な試作品を使って設計を検証するエンジニアリングチームが多い。これらの技術の方が簡単に見えるかも知れないが、その不正確さが誤りを取り込み、すぐさまコスト上昇となり、スケジュールに影響する。
機械エンジニアは、主レンズデータ(エッジ、頂点、クリアアパチャーなど)を作図形状として示すシミュレーションと解析ツールを必要としている。光学機械設計によって生ずる2つの一般的な問題は、ビームクリッピングによる迷光とケラレである。米CSA Groupの機械エンジニア、デイヴ・ルック氏(Dave Rook)は、「われわれは、ペイントあるいはフォトエッチアパチャー、またはたくさんの二次成分により、非常に粗い方法で迷光を何とかしたい。最初にそれに決着をつけられないと、膨大な支出になる」と説明している。
エラーを捉え、補正するソフトウエア
光学エンジニアと共同作業している機械エンジニアが直面する問題に対処するためにゼマックス社(Zemax)は、SOLIDWORKSアドインとしてLensMechanixシミュレーションソフトウエアを開発した。このアドインは、ゼマックス社のOpticStudioソフトウエアの物理コアをSOLIDWORKS環境に導入することで光学機械製品開発を効率化する。
LensMechanixは、ノンシーケンシャル光線追跡を使うことで光と物理的対象との相互作用をシミュレートする。機械的構成要素と表面仕上げとの相互作用を計算して、スポット径、迷光、画像のコンタミなど設計上の問題を特定する。
OpticStudioファイルをLensMechanixにロードすると、機械エンジニアは正確なレンズデータを使って機械的構成要素を設計することができる。さらに製品を通る光をシミュレートするために光線追跡を走らせ、光学機械設計が光学性能に影響を与えないことを確認できる。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/03/ft5_optical_design.pdf