位置検出ディテクタは試験・測定ニーズを満たす

ジョン・ウォレス

アライメントや他の光学アプリケーションでは、様々な形態の位置検出ディテクタ(PSD)が、一次元(1D)あるいは二次元(2D)のいずれかでスポット位置を計測できる。

ラボの実験者あるいは光学システム開発者が利用できる多くのフォトディテクタ構成の中で、レーザや他の光学セットアップのアライメントについて情報を収集する際に特に役立つものは位置検出ディテクタ(PSD)である。名前からして明らかなように、PSDの通常の利用は、ディテクタに入るある種の光スポットの位置計測が目的である。
 この単純な機能は、実際には多くのテストおよび計測装置、さらにアプリケーションの中心にある。ビームアライメントから適応光学波面形状計測(シャック・ハルトマン波面センサ形態、これは構成によってはPSDアレイをベースにすることができる)、他にもたくさんある。
 その構成に従い、PSDは一次元あるいは二次元のいずれかでスポットの動きを計測できる。PSDの一形態は、2(バイセル)または4(クワッドセル)ディスクリートディテクタのいずれかで構成され、バイセルとクワッドセルは、それぞれ1Dまたは2Dで光スポット位置を計測できる。
 バイセルでは、規格化したスポット位置出力は、2つのセル出力の合計で2つのセル出力間の差を割ることで決まる。クワッドセルでは、4出力を2つの異なる方法で合計して2つの直交バイセルと同じに見えるようにする。すると、各方向の規格化スポット位置が、手本にしたバイセルのそれと同じような方法で決められる。
 PSDの第二形態は、「ラテラル効果」に基づく1Dまたは2Dのいずれかでスポット位置を検知する単一の連続ディテクタで構成されている(この記事でカバーしていないスポット位置計測の第3の形は、CCD、CMOSまたは他のカメラタイプを使ってスポット像を撮る。ソフトウエアを利用してスポットの図心を定める)。

ラテラル効果PSD

米OSIオプトエレクトロニクス社(OSI Optoelectronics)のアプリケーションエンジニア、デニス・ポポフ氏(Dennis Popov)が説明するように、ラテラル効果PSDは、ギャップや死角がない連続した単一素子、平面拡散フォトディテクタである。これらのPSDタイプは、全域にわたり光スポット変位を直接読み取る。これは、光スポットの位置と強度の両方に正比例したアナログ出力がディテクタのアクティブエリアに入ることによって達成される。「このようなラテラル効果ダイオードを利用する主な利点はダイナミックレンジが広いことである」とポポフ氏は言う。「ダイオードは光スポットプロファイルや強度分布に依存せず、0.5μmを上回る位置分解能を可能にしている。ラテラル効果ダイオードは、センサ端までずっと光スポット位置を計測する。この精度は2つの分離した抵抗層によって達成される。1つはチップ上面に、さらにチップ底にもう1つある。これらのディテクタの特徴は、高信頼、広ダイナミックレンジであり、高い直進性を示す」。
 ポポフ氏の指摘によると、OSI社は市場で比較的大きな2Dラテラル効果センシングデバイスの1つ、DL-20(図1)を製造している。これは20×20mm平方のデバイス(400mm2位置センシングエリア)である。「その広いダイナミックレンジにより、高速光デジタルトラッキングシステムなど、多くのアプリケーションでそれは使用される。これらは、健康回復目的で人の動作追
跡システムにも利用されてきた。これらのデバイスの耐久性は高く、軍や航空アプリケーションでも同じように利用されている」と同氏は言う。
 これらのデバイスの他のアプリケーションには、ポポフ氏によると、人の目の動きのモニタリング、ヒトの運動3Dモデリング、レーザや光源、ミラーのアライメントが含まれる。「顕微鏡、
工作機械のアライメント、振動解析など、様々な光学システムの超高速、精密オートフォーカススキームでもデバイスは広く用いられている」と同氏は付け加えている。

図1

図1 位置誤差マップは、PSDの電気的位置出力と実際の機械的位置を比較する。そのようなマップは、本質的にPSDのキャリブレーションである。2Dラテラル効果PSDは、アクティブエリアが20×20mmである。そのために、この例の位置誤差マップは準備された(提供:OSIオプトエレクトロニクス社)。

クワッドセル、従来型と熱電対列

米ニューポート社は、クワッドセルとラテラル効果PSDの両方を製造している。ラテラル効果センサベースOBPシリーズ、CONEX-PSD、ニューフォーカス(New Focus)のクワッドセルベース 2901と2903 PSDが含まれる。ニューフォーカスは、ニューポート社のサブブランドである、と同社のシニア製品マネージャー、ジェイ・ジェオン氏(Jay Jeong)は話している。
 加えて、ニューポート社は熱電対列ベースクワッドセル位置センサ(PEPシリーズ)を製造している。熱電対は、熱吸収ディスクと、その周囲に置いたサーモカプラで構成されており、ディスクの熱吸収による電圧差を計測する、とジェオン氏は説明している。サーモカプラは4つの異なる面に分かれており、各サーモカプラセクションに接続されたリードが電圧信号を収集する。これは、従来のクワッドセルディテクタによって生成される電流信号に匹敵する。「ニューポート社が提供する製品の各々は多様な一連の仕様を持っており、目標アプリケーションは異なる」とジェオン氏は言う。「位置センサは主にビームドリフト、動きの速いか遅いかのトラッキングに使用される、また制御システムではビームを所望の経路に補正したり、ビームの動きを最小化するために用いられる。多様なビーム特性のために、例えば連続波(CW)、パルス、あるいは変調レーザ光、またビームの動きの速さと量、それに一般的な仕様が加わる。例えば出力パワーレベル、ビームサイズ、ビームの強度プロファイル、環境ノイズレベルなどが含まれ、1つの製品を可能性のあるアプリケーションの全てで利用できるわけではない」。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/01/LFWJ1701pp.pdf