1700nm帯で動作するビスマス添加ファイバ増幅器

今日の光通信ネットワークは一般に1550nmスペクトルウインドウで動作して、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)を使って通信距離を延ばし、波長分割多重(WDM)技術に出力を供給している。
 しかし将来の通信帯域ニーズのために新たなスペクトルウインドウを利用したり、EDFA技術ではできない1600~1750nmスペクトル領域の中空フォトニックバンドギャップファイバからの信号増幅のために、ロシア科学アカデミー・ファイバオプティクス研究センターの研究者はビスマス(Bi)添加光ファイバ増幅器を開発した。これは、市販の1550nmレーザダイオードで励起することで1640~1770nmで動作する(1)。

Bi添加MCVDファイバ

ツリウム(Tm)添加ファイバ増幅器(TDFA)は1700nm(1900nmまで)ウインドウで動作可能であるが、効率が低く、様々な特殊共添加および自作のASEフィルタ技術で強い増幅自然放出(ASE)を抑圧しなければならないので、TDFAを1700nmウインドウで使用するのは難しい。
 もう1つの方法として、Bi添加ケイ酸塩ゲルマニウムファイバでは1700nm帯に増幅があり、研究チームは高ゲルマニウム含有量の特殊Bi添加光ファイバを開発することで1700nm光増幅器を開発した。最高の利得特性を得るために、化学的気相堆積法(MCVD)を使って様々なBi添加コア濃度の光ファイバを作製した。
 Bi添加(ドープ)光ファイバ増幅器(BDFA)は、125μmクラッド、2μmコア径Biファイバで、ドーパント濃度はさまざま。2つの150mW、1550nmレーザダイオードで双方向コア励起されている(図1)。BDFAのパフォーマンス計測のために多波長光源を自作した。これには、スーパールミニネセントBi添加ファイバ光源と高反射率ファイバブラッググレーティング(FBG)を用いて、1615~1795nmに等間隔(15nm)スペクトルラインを実現した。

図1

図1 1700nm光増幅器(右側)は、自作の多波長光源(左側)、1615~1795nmを等間隔ステップで増幅する。WDMの伝送スペクトルは上方に示している(画像提供:ロシア科学アカデミー・ファイバオプティクス研究センター)。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/01/LFWJ1701wn3.pdf