アンクラッドYb: YAG結晶ファイバは完全導波路レーザとして動作

バルク固体レーザに言えることだが、添加ガラスの利用から添加単結晶利得媒体への移行は、個別ファイバレーザの出力向上では重要な一歩である。このため、単結晶ファイバ(SCF)の開発が盛んになっている。様々な構成が考案されており、接着剤フリーボンディング(製造は難しく、したがって量産には向かない)を用いて作られた結晶クラッド結晶ファイバ、ガラスクラッド結晶ファイバ(ガラスクラッドの断熱特性のため、出力増強には適さない)、アンクラッドSCF(研究には最適であるが、普及するには適切なクラッド堆積技術が必要)がこれに含まれる。
 以前にテストしたアンクラッドSCF構成は、直径1mm以下の短尺(30~60mm長)フロッド・イルミネート結晶ロッドからなる。ここでは内部全反射によりポンプ光がロッド内を弾んで進むが、出力レーザ光自体のモード構造はキャビティミラーによってのみ決まる。言い換えると、SCFはレーザ光にとっては導波路として機能するのではなく、ファイバレーザと比べるとバルクタイプと言える。
 対照的に、もっと長尺で細いダイオード励起アンクラッド・イッテルビウムYAG(Yb:YAG)結晶ファイバが最近米国陸軍研究所(Army Research Laboratory)と米シャスタ・クリスタルズ社(Shasta Crystals)によって開発されテストされた。これは、完全導波レーザ動作を実証している(図1)(1)。直径100μm、100mm長でドーパント濃度1%のSCFは、同社がレーザ溶融ペデスタル法(LHPG)技術を使って製造した。LHPGは潜在的にSCFの量産に適している(ただし、量産可能な結晶クラッド堆積法の開発が必要)。そのファイバにより、SCFの実験と最適化が可能になる。

図1

図1 アンクラッドYb:YAG単結晶ファイバ(SCF)は直径がわずか 100μmであり、完全導波レーザ動作を示す(提供:シャスタ・クリスタルズ社)。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/01/LFWJ1701wn2.pdf