レーザダイオードベースのスキャナが自律走行車への道を開く

米国のほとんどのドライバーは、この国の交通インフラにかなりの修復と改善が必要であることを認識している。実際、アメリカ土木学会(ASCE)は先ごろ、米国の道路を「D」グレードと評価した。
 自律走行車技術の急展開によって、道路を改善する必要性が明確になってきており、特に整合性の高い、見やすい路面標示が不可欠になる。これがなければ、自律走行車は自車の位置を正確に知ることが困難である。2015年ロサンゼルス自動車ショーにて、自動運転車技術の失敗に終わった実演でボルボ社(Volvo)の北米CEO、レックス・カーセメーカーズ氏は、「車線区分線が見つけられない。ここでは、このどうしようもない道路に車線区分線をペイントする必要がある」と大声を上げた。
 夜間の路面標示の視認性は、特に、再帰反射する小さなガラスの「キャッツアイ(道路鋲)」球を塗料に埋め込むことによって、あるいはマーキングを作るために熱可塑プラスチック材料によって強化される。しかし、プロセス変数はたくさんある。球の直径、球の設置密度とビーズが埋め込まれる深さだ。これらが、マーキングの再帰反射性の正確なレベルに影響する。
 反射光の色も、使う特定の顔料次第で場所によって違うことがあり得る。また、塗料がビーズにどの程度よくついているかにもよる。最悪の場合、夜間にドライバーは、黄色の線と白線との区別が簡単につけられないことがある。これは、塗料のクロム酸鉛を除去してからますます解決が困難な問題になっている、つまり、黄色が非常にサーチレーションしているからである。
 結果的に、連邦政府と州政府の両方が、路面標識の再帰反射性基準を開発済み、あるいは開発中である。実際、米国議会は、約25年前に、全ての路面標示には最小限の再帰反射性の基準がなければならないと命じた。しかし、そうした基準の実際的な値を設定するに至っていない。
 路面標示の視認性の仕様が出てくるのにそれほどに長くかかっている1つの理由は、それを正しく計測する実際的な方法がなかったことである。従来の計測技術は、キセノンあるいはタングステンベースのランプ計測器を手作業で路面に設置して、道路に沿って既定の間隔(一般的に、1マイル当たり10 ~ 20の読み取り)で測定値を取っていく必要があった。この方法は、車線閉鎖と交通規制を必要とし、作業員
にとっては危険であり、コスト面も上がってしまう。タングステンやキセノン光源に基づいた、さらに高度な車両搭載計測システムも最近導入されたが、これには限界がある。周囲の照明条件(太陽光やヘッドライトの照射)の補正ができないこと、戻り光の色を計測できないことなどである。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/LFWJ1611wn4.pdf