広視野THzレンズを積層造形で作製

テラヘルツ放射を使うイメージング用屈折レンズは、テフロン、金属板のスタックあるいは紙でも造ることができる。さらに、メタマテリアルオプティクスがテラヘルツイメージング用に開発されつつある(理由のひとつは、テラヘルツ放射の長波長のために、メタマテリアルオプティクスは、例えば赤外領域、可視光スペクトル領域よりもテラヘルツによる実験の方が遥かに簡単であることだ)。
 その構造がレンズ内の位置関数として変化に富んでいる時、メタマテリアルは屈折率分布型(GRIN)レンズのベースとしての役割を果たす。テラヘルツメタマテリアルは、サイズが100μmオーダーの単位セルサイズとなるので、精密に製造することは比較的容易である。したがって、非常に興味深いタイプのGRINレンズを造ることができる。例えば、リューネブルクレンズはよく知られたGRINレンズ設計である。これは球形状となり、リューネブルクレンズ表面と一致する画像表面に、無限結合体として被写体を収差なく映し出すことができる。リューネブルクレンズそのものは球対称であるので、レンズは360°の視野を持つ(ただし、イメージング検出面の制約により、視野はそれ以下になる)。
 リューネブルクレンズの1つの大きな欠点は、その球対称に起因するものである。画像表面自体は球であり、テラヘルツイメージャを含め、通常のイメージャではそのレンズは使いにくい。その設計を出発点として、米ノースウエスタン大と米オクラホマ州立大の研究者は、フラットな画像面を可能にしながらリューネブルクレンズの広い視野を保つ非球対称テラヘルツレンズを開発した(図1)(1)。レンズは、マイクロ光造形法(PμSL)と言う積層造形技術を用いてポリマで造られている。

図1

図1 リューネブルクレンズは球対称で、屈折率は中心で最高になる(上段左:色違いで示されている)。レンズは、1方向からの平面波入射をレンズの反対側面に映し出し、結果的に球状の結像面となる(上段中央と右)。修正版は、屈折率分布が球対称にならないように変更されている(下段左)。結果は、フラットな結像面となっている(下段中央と右)。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/LFWJ1609wn1.pdf