2つのレーザを1つに: 「陰陽」中赤外レーザは2つの同期チャネルを持つ
ファイバレーザは、高集積設計により、結果的にコンパクトなサイズ、低コスト、環境暴露に対する優れた堅牢性が実現されているために、他のレーザタイプに対し次第に優位性が高くなっている。2µmおよび他の中赤外(mid-IR)波長でファイバレーザのパルス動作は、様々なアプリケーションにとって魅力的である。アプリケーションとしては、ライダ、分子研究、光通信、環境監視、医療診断、手術応用がある。
英アストン大と中国・上海大の研究者たちは、先頃、アイソレータなしの「陰陽」構成で改良型リングファイバレーザを実証した(1)。
陰陽
中赤外領域で動作する光アイソレータのような光コンポーネントは高価であり、製造が複雑である。しかし、陰陽構成と単層カーボンナノチューブ(SWCNT)可飽和吸収体を使った代替設計は、従来のファイバレーザの基本的限界を克服し、高出力とパルスエネルギーのさらなる拡張を可能にしている。
そのレーザは、利得媒体としてツリウム添加ファイバを使用する(図1)。2つの標準的な溶融カプラが、融着接合されると、ハイブリッド非線形ループミラーが形成される。カーボンナノチューブ(CNT)ポリマ複合体を可飽和吸収体として組込むと、レーザはQスイッチ型の動作が可能になり、最大出力197mW、パルスエネルギー 1.7μJでサブマイクロ秒のパルスを生成する。研究者たちは、CNTポリマ(ファイバフェルール間に挟み込まれている)を組み込んだツリウム添加ファイバレーザQスイッチでは、これが今までの最高パワーであると語っている。
ポリマ組込みCNT可飽和吸収体のアプリケーションは、当初ファイバレーザデザインに害を及ぼすと考えられていた。光フィールドの最強中央部と相互作用する時に、その熱損傷閾値が低いためである。しかし、レーザセットアップは、非線形ループミラーが非線形光学カー効果に基づく追加の可飽和吸収体として機能するように構成されているため、ハイパワーでのパルス動作が安定になった。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/LFWJ1609wn3.pdf