レーザ・バブルペンリソグラフィがコロイドナノ粒子パターンを作る

量子ドットや金属ナノ粒子のようなコロイド粒子が重要デバイスとして現れつつある。アプリケーションはマイクロエレクトロニクス、再生可能エネルギー、それに医療分野ではセンシング・薬剤輸送がある。残念なことに、フォトン、集束イオンビーム、あるいは電子ビームを使う標準リソグラフィ法は、固体基板にこのような粒子のパターンを描くことはできない。光ピンセットは、粒子の多目的操作に強力な機能を提供するが、粒子を基板に静止させるという点ではまだ課題がある。また、ハイパワー動作(最大100mW/μm2)が、そのアプリケーションを限界づけている。
 テキサス大研究者が開発した独自の方法は、極めて低出力のレーザを使って、プラズモン基板とコロイドナノ粒子を含む溶液との間の界面にマイクロバブルを形成する。この「バブルペン」は、対流、表面張力、気体の圧力を使ってバブルの方に粒子を引き出す。このバブルペンリソグラフィ(BPL)技術を使うと、様々な分解能とアーキテクチャを持つ任意のパターンが光学的に基板上に描ける。

プラズモンにより改善された光熱効果

ガラススライド上の1ケタナノメートル間隔をもつ数10nmオーダーサイズのナノ粒子をプラズモン基板として用いる。パタニングには、ナノ粒子のプラズモン共鳴波長にチューニングした、1ケタmW/μm2レベルのローパワーレーザが適している。
 バブルを形成するために、2μm径のレーザビームをプラズモン基板の下側から、コロイド粒子溶液が基板と120μmスペーサを持つカバースリップに挟まれた基板に集中させる。プラズモンにより改善された光熱効果からの水蒸気のために、1μmに縮小したバブルの直径が、プラズモン基板上に形成される。
 次にコロイド粒子は、マイクロバブルの方へ引き出され、バブル・溶液界面にトラップされ、基板に静止させられる(図 1)。レーザパワーを切ると、粒子はパターン形成された場所に残る。これは、熱効果で基板への接着が強化されているからである。

図1

図1 テキサス大の研究者がレーザ・バブルペンリソグラフィ描写を実証。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/07/LFWJ1605_P12-13_wn03.pdf