テラヘルツQCメタサーフェスVECSEL、発散が少なく、ニア・ガウシアン出力を実現

2000年代早期に連続波(CW)量子カスケード(QC)ベースのテラヘルツレーザが実証されてから、研究者たちは出力レベルを低ミリワット範囲に上げること、発散角を10°程度に抑えること、またビーム品質を改善することに継続して努めてきた。
 残念ながら、これらの性能パラメータのどの1つでも改善しようとすると他のパラメータが犠牲になることがよくあり、複数のパラメータの同時改善は非常に難しい。例えば、半導体QCLの出力を高めることは難しい。導波路ベースの利得キャビティの拡大は、マルチ横モード発振に悪影響を及ぼし、ビーム品質やモード安定性が悪化するからである。また、テラヘルツ波長の達成は一般にサブ波長金属導波構造やプラズモン導波路構造を必要とするので、特別なアンテナ結合分布帰還(DFB)あるいはフォトニック結晶キャビティを使用しなければ、結果的に大きなサイドローブを持つビームが著しく発散することになる。
 こうした性能トレードオフの多くを除去することを目指した、カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)の研究者たちによる代替設計は、テラヘルツ周波数で動作する垂直外部共振器発光レー(VECSEL)である。VECSELは、増幅メタサーフェス反射鏡と平坦な出力カプラで構成されている(1)。
 メタサーフェスとは、二次元(2D)メタマテリアル表面であり、これは基本的にはアンテナ結合QCキャビティアレイである。一方、出力カプラは市販のワイヤグリッド偏光子で構成されている。カプラは、レーザキャビティを構成し、一定量のパワーを出力する半透明ミラーである。

ビームエンジニアリング

アクティブメタサーフェス反射鏡は、幅wの金属−金属リッジ導波路で構成されており、これはガリウムヒ素(GaAs)/アルミニウムGaAs(AlGaAs) QCレーザ媒質を金属ストリップで上下から挟んでいる。これらの10μm厚サブキャビティ導波路の各々は、フリースペース波長λ0よりも小さい周期Λによって分離されており、標準的な入射光からの回折損失とサイドモード励起を防いでいる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/03/LFWJ1603_P12-13_wn03.pdf