製造中の30m望遠鏡向けミラーブランク

ハワイのマウナケア山頂付近に建設中の30m望遠鏡(TMT)は、超怪物級の望遠鏡である。そこではきわめて過酷な設計、製造、組立作業と望遠鏡の回折限界に挑むような操作(もちろん補償光学を使用する)が行われる。それにより空間分解能はハッブル宇宙望遠鏡(遥かに集光能力が高い)の12倍以上にもなり、TMTにより遥か昔の宇宙形成の初期を見ることができる。太陽系外惑星、その大気、分光学的特徴を極めて詳細に調べることが可能になるほか、ブラックホールへの理解も深まって、われわれの宇宙物理学の知識は一段と高められるだろう。
 TMTの中核には、492枚のミラー(鏡)があり、これらは望遠鏡の主鏡を構成している。日本のオハラ社が、その望遠鏡に必要な571 M1セグメント鏡ブランクを供給している(スペアも含む)。すでに製造したミラーブランクは100を超える。オハラ社のCLEARCERAM-ZHS(クリアセラム)超低膨張ガラスセラミックは、米オハラ社の社長、ブライオン・ホフマン氏によると、各ブランクは直径約1.5m、厚さ約50mmである。ブランクは、米国、日本、中国およびインドのベンダーが研磨して1.4mの六角形にする。これらは、ぴったりと組み合わされてTMTの主鏡を形成する。

作業はすでに10年も

ホフマンによると、2005年始め、オハラ社の代表者たちは、カリフォルニア州パサデナにある、カリフォルニア工科大(Caltech)近くの小さな家で、科学者、天文学者、光学エンジニアで構成されるTMTのチームと会った。2006年、オハラ社はTMTタスクチームを形成した。チームは、8名の中核メンバー、他の5部署からの20名を超えるサポート陣で構成されていた。「オハラ社は、28ページのTMT文書に挙げられている仕様のすべてを満たすために、系統的なアプローチを開始した。文書には、これまでに当社が経験した中で、最も要求の厳しい熱膨張係数(CTE)の仕様が含まれていた。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/03/LFWJ1603_P10-11_wn01.pdf