マスク点光源LEDがセンサ照明を最適化

ゴラン・パンザ、イ・チェン

極めて明確に定義された照明パターンを必要とするアプリケーションは、光開口の形状とサイズを制御するために改良されたLEDの恩恵を受ける。

1960年代に商用発光ダイオード(LED)が導入されて以来、幅広いアプリケーションでこの技術が徐々に採用されてきた。コンシューマー製品から公共照明までだ。産業機器向けのマシンビジョンのような特化されたニッチ製品から、医療測定器の精密照明もこれに含まれる。過去数十年で、そうした技術は大きく進化し、LEDは今ではほとんどの分野で最良ソリューションと見なされており、優れた効率と低量産コストを持つ高光強度を提供している。
 市場セグメントの中には、現在のLED特性で満足していないところもある。こうしたセグメントは高効率照明を求めるだけでなく、LEDからの高品質放射パターンも要求している。このような要求に応えるためにiC-ハウス社はマスク(遮光)点光源LED技術を開発した。この技術の利点を説明するために、マスク点光源LED技術と現在のLED技術を比較し、メリットが出るアプリケーション例を示す。

LED設計の進歩

LED技術は電界発光原理に基づいている。すなわち、電気エネルギーの光放射への比熱変換である(光放射が熱放射を通して生成される白熱電球とは異なる)。LED動作は、単純な半導体p-n 接合によるものであり、ここでは正と負の電荷キャリアが再結合し、フォトンを放出する。ダイオード構造で半導体材料を選ぶことで放出フォトンの波長を制御することができるので、デバイスは可視、赤外(IR)、紫外(UV)光が可能になる。
 標準的なLEDでは、光は活性領域から全方向に放出される、これは立体放射として知られるプロセスの結果である。対照的に、面発光LEDは活性層をダイオードセクションに閉じ込め、光は上面から放出されるだけである。さらに改善すると、製造プロセスにより活性領域の下に反射層を組み込むことができる。このようにして裏面発光を上面発光に変え、LEDの強度と効率を高めることができる。
 面発光LEDは、光が1方向のみに放出されるので、放出パターンが改善されているが、これが常に十分であるとは言えない。アプリケーションの中には、明確に定義された照射パターンを必要とするものがあり、これはマスク点光源LEDの開発となった。
 マスク点光源LEDは、面発光LEDをベースにしているが、一定の変更が追加されている。nドープ半導体層(カソード)の上に、レチクル構造を持つフラットガラスが加わっている。この光アセンブリが発光アパチャを規定するのである。その設計のもう一つの重要な改善は、ボンディングワイヤとコンタクトが半導体面の端に移動していることである、つまりそれを放射パスから除去している(図 1)。
 結果として、面発光LEDのほとんどの特性は失われていないが、発光は所定の開口形状およびサイズに集中する。同時に、この設計は均一で明確に定義された照射につながる。
 まとめると、基本的なLED照明の特性は、すべての設計アプローチに共通しており、これに含まれるのは高効率光生成、長寿命、低放熱、材料によって選択できる波長、小サイズ、短いON/OFF時間である。各設計アプローチの長所、短所は図 2に示した。

図 1

図 1 製造中のマスク点光源LEDで、レチクルがある場合とない場合。

図2

図2 LED発光技術の比較。立体発光、面発光とマスクされた点光源。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/03/LFWJ1603_P34-36_feature03.pdf