クロスヘアレーザ法は風力タービン計測の新手法

風力タービンのブレードから大型車両のフレーム、沖合の石油掘削機、艇体、組立式橋梁まで、大きな構造物でエンジニアがゆがみやねじれを正確に測定する必要がある箇所には、多くのアプリケーションがある。しかし、これらの状況の多くで、従来方法である加速度計あるいは他の基底基準技術を用いることは実用的ではない。
 現在、米ボックスボロ・システムズ社のモジュラーレーザベースのDTMS(偏差および湾曲測定システム)というツールを使うことで、このような変形を高い空間分解能、大きな変位幅でリアルタイム計測できる。
 基本的なDTMSモジュールは、赤色レーザのクロスヘアプロジェクタ、ディテクタユニットを搭載している。ディテクタ部分は、正方形配列の4つの線形フォトダイオードアレイで構成されている。これらのモジュールの1つ(ルートモジュール)を、テストすべき構造物の片端にしっかりとマウントし、レーザビームが反対側の端に向けて放射される。2番目のモジュール(エンドモジュール)は、テスト構造物の他端第1の直接見通し線にマウントされている。
 動作中、両方のモジュールは他のモジュールからのクロスヘア照明パタンの位置を感知する。これは4個のフォトダイオードアレイの交差点に基づいている。こうして、そのシステムはコンピュータの助けを借りて、終端モジュールの動作軸を同時計測する。ゆがみ、ねじれ、横方向変位を含めて、これらはすべて元のモジュールと関連している。

リレイコンセプト

このシステムにとって本質的な1つの新開発は、リレイコンセプトである(図1)。ここでは、より長い距離に沿った計測を同じモジュールシリーズを使って一連の固定区分に分割する。このような両端が同じになっているモジュールを、テストする構造物に沿ってユーザーが選択した箇所にマウントする。これら個々の双方向リレイモジュールは完全に対称性がある。コンパクトなリレイユニットは、2つの同じレーザダイオードプロジェクタとディテクタアレイアセンブリを搭載しており、相互に180°となるように設置されている。片方向モジュールで、もっと簡素なバージョンも提供しており、このモジュールでは計測する動きの自由度は3°だけとなっている。
 そのレーザダイオードプロジェクタは、ホログラフィック光学素子(HOE)ではなく、屈折光学素子を使用する。その理由は、HOEの遠視野クロスヘアが実際には干渉縞であり、強度が不規則になるからである。これによって、距離やレーザダイオードの波長が変動し、このシステムの計測を危うくする。
 DTMSは、ベクトルベースのアルゴリズムを採用している。ここでは個々のリレイユニットの位置が隣接ユニット、最終的には終端ユニットの1つに対してベクトルとして計算される。各リレイモジュールでは、座標系の原点がエンクロージャの両端の中間にあり、台座の底板から66.5mm上の位置にある。最もシンプルなフォーマットで、レーザダイオードプロジェクタは、リレイモジュール内部の固定マウントに保持されている。

図1

DTMSを使って高分解能で大きな振幅のゆがみを計測するには、分割アプローチが不可欠である。挿入写真は、双方向モジュールの1つ。カバーを外して、二軸調整が可能なマウントに設置した2つのレーザのクロスヘアモジュールが見えるようにしている(Siskiyou IAG 100P)。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/LFWJ_Jan16_wn02.pdf