レーザベースのリモートセンサは複数の方法で他の天体をプローブ

分光学は、太陽系の探査にとって重要であった。様々な宇宙飛行で宇宙を飛んだ分光計測装置に含まれるものとしては、ChemCamがある。これは、現在火星を探査している米国航空宇宙局(NASA)キュリオシティ(Curiosity)、探査機ローバーの一部となっており、レーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS)を含む。欧州宇宙機関(ESA)のロゼッタ探査機に搭載されているのは、極紫外(UV)、可視光、赤外(IR)分光計である。ロゼッタは、2014年1月から軌道を回って彗星67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ(Churyumov-Gerasimenko)を調べている。さらにALICE分光計は、NASAのエルクロス(LCROSS: Lunar Crater Observation and Sensing Satellite)ミッションの一部であり、月に水が存在することを確認した。また、SuperCamと命名された改良型ChemCamは、NASAの火星2020ローバーミッションの一部となる予定だ。SuperCamは、ラマン分光装置と時間分解蛍光分光装置を収容する。
 しかし、これらのミッション向けの分光システムの各々は、固有の製作物として積み上げ方式で設計され、作製された。様々な異なる分光学的アプローチを統合して、単一の装置を多くの異なるタイプのミッションで使えるように設計するとしたどうだろうか。特定のミッションへの最適化は必要となるかも知れないが、そのような装置は、個々のミッションに向けた独自のハードウエア設計の時間と費用を大幅に削減することになる。
 NASAラングレー研究センター、NASAエイムズ研究センター、ハワイ大学の研究グループは、そのような装置を作製した。それはマルチスペクトル装置で、ラマン、レーザ誘導蛍光法(LIF)、LIBS、光検知測距(ライダ)を含む(1)。その装置は、100m以上の距離にはラマンと蛍光分光を使用し、20km以上の範囲ではライダベースの単一波長大気プロファイリングを使用する。そのユニットの設計は、今後予定されている火星と木星の氷のように冷たい衛星に向けたものであるが、彗星や小惑星、太陽系の他の惑星の調査もできる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2016/11/LFWJ_Jan16_wn01.pdf