ガラス製ミクロ層による全ファイバ周波数ダブラーが開発中

カナダのカールトン大(Carleton University)電子工学科のジャック・アルベール教授(Jacques Albert)は、カナダ自然科学工学研究会議(NSERC)の戦略的計画助成金として46万2000ドルを獲得した。光ファイバをベースにした、光の周波数変換、非線形光学演算の新手法を開発するためである。
 目的は、交互構造ゲルマニウム(Ge)ドープ層のような周期的に分極する放射状構造をもつ、シリカベースのファイバを作り出すことである。これにより、ファイバは第二次高周波発生(SHG)を高効率で起こすことができる。このようなデバイスがファイバレーザと組み合わさると、全ファイバ可視レーザ源として利用できるとされている。バルク光学に基づいたSHGシステムは巨大なサイズや複雑さをもつが、それも解消されるとみられている。
 アルベール教授と彼の共同研究者は、周期的に分極するシリカのミクロ構造、あるいはナノ構造を開発するための実験を、すでに多く行っている。過去4年間、平坦基板に交互ドーパント配列層からなる分極処理したシリカ構造をデザイン、製作し、そのパフォーマンスを測定してきた。事例を一つ挙げると、Geドープしたものとドープしないものとを交互に配置し、75nm層のシリカを重ねて3μmの厚さにしたものは、層状にしなかったサンプルの200倍の強さのSHGを発生させた。広く使われているニオブ酸リチウムと同等の光学非線形性をもつ構造である。
 カールトン大のグループは、この技術を活用し、平坦フィルムを作るというよりも、周期的に分極するシリカファイバとなる、放射状層のフィルムを生み出すことを目指している。そのようなファイバがあれば、容易にファイバレーザと継ぎ合わせることができる。これにより、アルベール教授の言う「近代のファイバレーザの進化における、次の論理的なステップ」が導かれるという。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2015/10/LFWJ1509-15.pdf