可変中赤外OPOを励起するツリウム添加ファイバMOPA
中赤外スペクトル領域には、有機、無機の分子の特定に役立つ、多くの分子吸収共鳴が存在する。その結果、このスペクトル領域は、生命化学においてはセンシングやリモートセンシングの関心の的となっている。アプリケーションは、薬学、農業、食品分野、セキュリティ、科学捜査、軍事に広がる。
加えて、中赤外には長距離センシングを可能にする低吸収大気ウインドウがいくつか含まれている。さらに、中赤外は目に浸透しないので、この領域はアイセーフと考えられている。
中赤外の利用で非常に重要な点は、十分に高いピークパワー・エネルギーを持つ広帯域チューナブル光源の開発である。目的は、高信頼の分光計測だ。よく用いられるアプローチの1つは、光パラメトリック発振器(OPO)を利用して、光源を所望の波長に非線形周波数変換するアプローチである。
このためのパルスファイバレーザは、ファイバの非線形性により伝統的にパルスエネルギーに限界がある。これはファイバの強い閉じ込めと長尺の必要性により、悪化しているのである。この障害を克服するために、中央フロリダ大、CREOL(オプティクス・レーザ研究教育センター)、タウンズレーザ研究所の研究チームは、新しいファイバベースのMOPA光源に取り組んでいる。この光源は、ツリウム(Tm)添加シングルモードファイバ発振器と2つのフレキシブルTm添加フォトニック結晶ファイバ(PCF)増幅段を含んでいる(1)。光源は、二リン化亜鉛ゲルマニウム(ZnGeP2,ZGP) OPOの励起に使用している。
4m長の偏波保持発振器は、10μmコア径と130μmクラッド径となっており、35Wの波長793nmレーザダイオードで励起している。音響光学変調器が発振器をQスイッチし、結果として繰り返しレート20kHzで、100ns、25μJが得られる。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2015/10/LFWJ1509-14.pdf