非金属で動作する光磁気ミラー

光周波数域における金属ミラーからの光の反射は金属の自由キャリアとの強い相互作用の結果として光波の電場の位相反転を伴う。磁場は反転させるが電場は反転させないことを特徴とする「磁気ミラー」は、パターン化された金属表面を使ってすでに実証済みだが、無線周波数に限定されている。今のところ、光周波数で磁気反射を誘起する天然材料は確認されていない。
 非金属の人工材料を使って磁気反射率を実証する研究を続けているサンディア国立研究所とインテグラル・ナノテクノロジーズ・センター(the Center for Integrated Nanotechnologies)の研究チームは、サンディアの研究者イーガル・ブレナー氏(Igal Brener)とマイケル・シンクレア氏(Michael Sinclair)の指導の下で、光源、光検出器、センサなどの開発を前進させうる斬新な性質をもつ全誘電体メタマテリアルミラーを開発した(1)。

テルルメタ表面

このメタ表面は、電気および磁気双極子共鳴の最大スペクトル分離機能をもつ高屈折率テルル(Te)微小共振器の2次元アレイを含む(図1)。数値シミュレーションを使って、このサブ波長構造を赤外波長の光反射向けに最適化した。このTe構造では、約8.9μmの中赤外スペクトル領域の最大反射波長を維持しながら、磁気と電気の双極子共鳴波長(8.95μmと7.08μm)はこの構造の吸収極大と一致する。

図1

図1 予想図は、立方体形のテルル共振器を含む磁気ミラー(左)を標準の金属ミラー(右)と比較している。交互に起こる赤と白のバンドは入射および出射する光の電場を表している。この磁気ミラーでは、反射で電場が反転する標準金属ミラーと違って、光が元々もっている電気信号は維持される。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2015/03/LFWJ1503_worldnews_Optical_magnetic_mirrors.pdf