ビデオフレームレート顕微鏡観察を可能にするリサジュー走査軌道

米パデュー大学の研究者たちは、スピログラフ(SpiroGraph)として知られている子供の玩具が描き出す繰り返しパターンに似た、遠回りのリサジュー軌道の視野上をレーザ走査することによってビーム走査顕微鏡アプリケーションにおけるフレームレートを約50倍に向上させ、キロヘルツ台を達成したと発表した(1)。従来のガルバノ共鳴走査ヘッドのガルバノ駆動ミラーを第2の共振ミラーに置き換えてリサジュー走査を有効にした。

画像再構成

高フレームレートの実現にむけて、全リサジュー軌道はサブ軌道に分割され、その各々で視野内でまばらだが高速のサンプリングを行った。時間と空間の両データの最大帰納的推定に基づいて未サンプリングピクセルを特定のサブ軌道に投入するために、時空間モデルベースの画像再構成(MBIR)3Dインペインティングアルゴリズムを開発し、データスタックの全情報内容を使って画像再構成を実施した。高品質画像(256×256ピクセル)は、ピクセルの約30%が直接インテロゲーションされたフレームから回復され、500Hzイメージングが得られた。検出器は単純なフォトダイオードまたは光電子増倍管であったため、複数の撮像モダリティをキロヘルツのフレームレートで同時に取得できた。
 この研究で、研究者らは一般に高速イメージングを必要とする2つの重要な効果に焦点を絞った。すなわち、モーションブラーと過渡事象である。高速な試料移動 (例えば、呼吸や心臓の鼓動による試料の振動)の影響はサブ軌道の選択によって低減でき、結果としてフレームレートは100Hzと1.25kHzになった。100Hz以上にフレームレートを上げると、25Hzリサジューイメージングや従来の15Hzラスタ走査で観察されたような試料のぶれからくる深刻な影響が首尾よく除去された(図1)。

図1

図1 USAF 1951解像度チャートイメージの高速試料移動は深刻なブラーを引き起こした(左)。1.25kHzのリサジュービーム走査技術(中間)を使うことにより、ブラーがかなり低減された(右)。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2015/03/LFWJ1503_worldnews_Lissajous_scanning_trajectory.pdf