光ファイバプラズモニクスを可能にする埋め込み金ナノワイヤ

導波路やプラズモニック構造などの平面ナノフォトニックデバイスは、挿入損失が大きくなりがちであり、光ファイバネットワークの場合には物理的な平面構造と円筒形光ファイバとの複雑な結合が必要になる。しかし、ナノフォトニックデバイスが光ファイバ構造自体内に物理的に統合されたとしたらどうであろうか? まさにこのような可能性が独フリードリヒ・シラー大
(Friedrich-Schiller-University)と 独マックス・プランク光科学研究所(Max Planck Institute for the Science of Light)の科学者たちによって実証された。すなわち、円筒形のナノフォトニック構造が直接フォトニック結晶ファイバ(PCF)、微細構造化光ファイバ、あるいは毛細管内に加圧溶融充填(PAMF)プロセス(1)によって埋め込まれた。
 PAMFを使って、研究者たちは、近接場顕微鏡アプリケーションに有益なプラズモニックナノプローブの作製など、新しい機能をもつPCFを開発している。

PAMF機能

まず、シリカファイバまたは毛細管に浸透させる材料の融解温度がシリカの軟化温度(1400℃)以下であることを確認し、その後、溶融材料を高圧下でファイバの空孔内に圧入する。液体金属は半湿潤性材料なので、ナノスケール直径の穴を埋めるには数百バール台の圧力を要する。
 従来の線引きまたは押出技術とは異なり、線引加工中の小さな「空孔」直径での材料の熱ミスマッチに関係する問題を避けながら、金属と低融点化合物ガラスの双方、あるいは半導体材料さえをも合体させることができる。
 PAMFで可能になるユニークな光ファイバの例には、1μm口径への三硫化ヒ素ガラスの毛細管充填があり、その結果として、2μm波長の超短パルスを照射された時に、4μmに拡張されたコヒーレントな中赤外スーパーコンティニウムを発生するカルコゲナイド‐シリカ導波路が開発された。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2015/01/LFWJ0115_wn_p12.pdf