リッジQCLに比べて5倍も強力な同心円状回折格子テラヘルツQCL

電磁スペクトルのテラヘルツ領域で動作する量子カスケードレーザ(QCL)は多数の分光法、通信、画像処理用途などで需要がある。しかし、一般に採用されている金属‐金属導波路配置のリッジ導波路式テラヘルツQCLは約180°もの大きなビーム発散とマルチモード動作に悩まされる。外部または集積光学を使って10°より小さい発散角を実現することは可能だが、低出力とマルチモード動作の問題は解決されない。
 シンガポールの南洋理工大学(NTU)と製造技術シンガポール研究所ならびに英リーズ大学、香港理工大学、上海交通大学の研究チームは、同心円状回折格子(CCG)の円対称性の利点を生かして、リッジ導波路QCLに比して5倍強力な垂直放射QCLを開発した(1)。

円対称性

市販のCOMSOL有限要素解析ツールを使った数値シミュレーションにおいてCOMSOLソフトウェア二 次 元(2D)偏微分方程式モードを使うことによって、研究チームは最適化された同心円状回折格子(CCG)を開発した。モデリング段階で垂直放射のモードプロファイルを採用し、トップCCGとボトムの下層金属プレートとの間にレーザ利得媒質を挿入することによって、約3.75THzのテラヘルツ動作に最適なデバイスを作製した。テラヘルツ回折格子式レーザからの放射強度を最大にするためのCCGの最適パラメータは、外側リングの厚みが16.2μmであり、各リング内に精密加工されたスロットを持つ全リングの直径が356.7μmであった。
 最適化された金属ベースCCGの同心円リングは3スポーク構造によって一括して電気接続され、CCG下の利得媒質の全体を電気的にポンピングする(図1)。レーザ利得媒質は分子ビームエピタキシャル成長法を使ってヒ化ガリウム/ヒ化ガリウムアルミニウム (GaAs/Al0.15Ga0.85As)構造で組み立てられた。CCG構造は標準的なフォトリソグラフィとリフトオフによって定義され、最終的に活性領域が円形になるようにウェットエッチングされた。

図1

図1 走査電子顕微鏡(SEM)像は組み立てられた同心円状回折格子(CCG)テラヘルツ量子カスケードレーザ(QCL)を示す。黄色は金層を強調し、同心円リングは回折格子全体の電気ポンピングを可能にする。デュアルローブの遠方場放射はCCGテラヘルツQCLの典型である。(資料提供:NTU)

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/05/95b3bc9a0a7238fa838239b8e1b7129d.pdf