光学薄膜設計・製造者の能力を目玉とするOSAコンテスト

アメリカ光学会(OSA)は光干渉コーティング(OIC)会議を3年ごとに、常に、なぜかバケーションに魅力的な場所(2001年にはカナダのバンフ、2004年、2007年と2010年にはアメリカのツーソン、2013年にはカナダのホイッスラー)で開催してきた。そして、OICを開催するたびに、ユニークなコンテスト結果を発表している。控えめに名付けられた「製造問題コンテスト」では、競技者は、コンテス
ト主催者が提案する、毎回異なり、常に普通ではなく困難な設計要件に適合する光学コーティングを設計、製造しなければならない。ホイッスラーで開催された昨年のOICで発表された第5回製造問題コンテスト結果の詳細がようやく公表された(1)。

スペクトル透過率の目標は一体?

昨年のコンテストの設計目標は、普通の(そして実用的な)フィルタ設計からかけ離れているとはいえ、それは限界を突破し、そのプロセスから学ぶために重要である。垂直入射透過率目標のスペクトル形状は水平線部分によって接続された上に凸な半円と下に凸な半円からなる(図1)。そのスペクトル領域は非常に広い400〜1100nmの範囲にわたり、その前のOICコンテストでの光学フィルタに比べて2倍である。50×50×4mmの基板は米エドモンド・オプティクス(Edmund Optics)から寄贈されたN-BK7光学ガラスである。このフィルタの透過率は全透過率で定義されるが、競技者には両サイドから2つの別個の薄膜スタックを作製する自由度が与えられた。メリット関数(MF)が定義され、これを使って計算および測定されたフィルタ性能が評価された。

図1

図1 2013年OIC製造問題コンテストにおいてエンターされた光学フィルタの目標スペクトル透過率曲線を黒で示した。勝利を収めたフィルタサンプル(S1)の実際の性能は参加者、ODA、NISTによって測定され、それぞれ青、緑、赤で示されている(それらは色の区別が困難なほど十分に重なっている)。このサンプルは、コンテストに勝利した3つのうちの1つであり、米JDSUで設計、製造された。これは123層からなり、厚さ8.580μmであった。他の2つの勝利フィルタは米アドバンスト・シン・フィルムズ社(Advanced Thin Films)と日本のニコン社で作製された。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/05/dbee4e7d6d2c3b94c231492e6fbf4b34.pdf