3軸レーザスキャニング技術が要求厳しい材料加工アプリケーションを改善
ポストオブジェクティブ、3軸、完全デジタルスキャニングシステムにより、広い視野、小さなスポットサイズ、高速、高精度が得られる。これらは次世代リモートレーザ材料加工アプリケーションの要求である。
ラージエリア、ウェブフェド、リモートレーザ材料加工のアプリケーションの数が激増しており、これにともなって切断、エングレービング、模様付け、レーザ積層造形などのアプリケーションで要求がますます厳しくなってきている。多様な市販レーザの多くは、これら要求の厳しいアプリケーションに使えるように開発されており、特定の材料の特定加工を最適に行うようになっている。ガルバノメータベースのレーザスキャナのような最先端のビーム供給システムの開発も、これら要求の厳しいアプリケーションにフォーカスしたものとなっている。
ケンブリッジテクノロジー(CTI)の3軸Lightning-II(L-II)ガルバノベースレーザスキャニングシステムは、2つの技術、3軸ポストオブジェクティブスキャニングとL-II完全デジタルスキャニングとを組み合わせてこれらのアプリケーションで使えるようにしている。3軸L-IIシステムは、スループット向上、精度向上、レーザ動作の視野拡大によって、フラットパネルディスプレイ、電子部品、ソーラ、繊維製品、自動車、3Dプリンティング産業といった要求の厳しいアプリケーションに使用できる。
ポストオブジェクティブスキャニング
3軸作業機構は通常、ポストオブジェクティブスキャニングと言われている。これは、スキャニングミラーが集束(対物)レンズの後(post)にあるためである(図1)。ポストオブジェクティブスキャニング技術を用いると、スキャニングシステムはフィールドサイズを大きく、スポットサイズを小さくすることができ、扱うレーザのパワーレベルを高くすることができる。このアーキテクチュアでは、生のレーザビームは動的エキスパンダレンズから光学システムに入り、動的エキスパンダレンズで形成されたビームウエストを対物レンズが目標面に再表示する。
動的集束モジュール(DFM)を利用してエキスパンダレンズを動かすと、焦点面の距離が変わる、したがってダイナミックフォーカスと言う。xyスキャニングモジュールで光パスを折り返し、x軸およびy軸専用スキャナで目標の作業面をスキャニングする。スキャンコントローラで調整することで、作業面の個々のxy座標がそれぞれ動的に調整されたz座標を持ち、これによってユーザは平坦面で、あるいは立体でレーザ加工作業を行うことができる。
レーザ加工作業の大半は平坦面で行われる。従来の2軸スキャンヘッドは、作業面を平坦にするには特殊なスキャンレンズ(fθレンズなど)を必要とする。補正のないxyガルバノシステムでは球状の焦点面となるからである(図2)。3軸技術は、焦点面を平坦にするためのスキャンレンズを必要としない。代わりに、DFMによって作業領域の各点で焦点距離を動的に調整することで、必要な平坦面を実現する。
大きな視野
3軸スキャニングシステムが主として使われるのは、広い範囲のスキャニング、フィールド平坦化レンズや2軸スキャンヘッドがもはや実用的ではないような2D面のスキャニングである。2軸システムの不適合性は通常、サイズ、複雑さ、究極的には広視野用のスキャンレンズのコストからくるものである。
3軸システムでは、集束(対物)レンズをスキャンヘッドの前に置くことで、光学素子のサイズが、フィールドサイズに依存しなくなる。つまり、対物レンズに対するDFMの位置が、名目的な作動(焦点)距離を決める。作動距離によって視野サイズが決まるので、作動距離が長ければ長いほど視野サイズが大きくなる(図3)。
3軸技術は設定可能デザインになっており、このため1つのレンズセットで大きな視野サイズ、あるいは可変視野サイズスキャニングアプリケーションが可能になる。しかし、焦点距離(f)と視野サイズが増すにつれて、スポットサイズも広がり、パワー密度が減少する(レーザパワー一定の場合)。効率的なレーザ加工には一定のパワー密度が必要であるので、これは好ましくない。3軸スキャニングは、集光光学素子のビーム径(D)を大きくしてスポットサイズを小さくすることでこの問題を解決している。式は次のようになっている。スポットサイズ=k×m2×λ×f/D。ここではkは一定、m2はレーザビームの品質係数、λはレーザの動作波長である。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/05/8d489d7a527acce05a5a896d236c59021.pdf