分子を識別する周波数コム利用のラマン分光法

無標識の実時間分子イメージングは、2台のレーザ周波数コムを使って顕微鏡下の分子種を迅速に識別するコヒーレントラマン分光イメージング法が開発され、大きな一歩を踏み出した(1)。この技術は独マックス・プランク量子光学研究所、独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校、仏パリ第11大学の研究チームのコラボレーションの成果である。
 この技術、いわゆるデュアルコムコヒーレント反ストークスラマン分光法(CARS)は繰り返し周波数(約100Hz)はわずかに異なる2台のフェムト秒レーザを使って顕微鏡下の分子混合物をプローブする。CARS法は、1つの超短パルスレーザをパルス成形器または干渉計と組み合わせて使うことによって分子をプローブするが、この組み合わせは混合物中の異なる分子を識別するだけのスペクトルバンド幅または解像度をもっていない。しかし、2台のフェムト秒レーザを使えば、フェムト秒パルス幅の逆数と同程度に広いスペクトルバンド幅をもつ全ラマンスペクトルがマイクロ秒のスケールで、画素ごとに、しかもたった1台の光検出器を使って記録することができる。

固定周波数コム

この実験装置では、20fsパルス幅、最高13nJのエネルギー、100MHzのパルス繰返し周波数をもつ2台のTi:サファイアフェムト秒周波数コムをビームスプリッタで結合させている。チャープミラー圧縮器を使って装置内の光学部品によって誘起された2次分散を補償し、スペクトルフィルタリングを使って信号/バックグラウンド比を高め、試料の前に置かれた低周波バンドパスフィルタと試料後に置かれた高周波バンドパスフィルタを使って集光試料が発生したCARS信号を分離する。前方収集された反ストークス放射はシリコンフォトダイオード(100MHzの周波数域幅)に集められ、解析用に増幅およびデジタル化される。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/03/WN2-LFWJ1403.pdf