産業用の100kWファイバレーザとパワーメータ
驚異的に小形な、初の商用100kWファイバレーザが米IPGフォトニックス社(IPG Photonics)によって開発され、300mm厚の金属パーツの溶接にレーザを使用している材料加工研究所、日本のNADEXレーザR&Dセンターに販売された。これは、サイズが1.86×3.6×0.8mで、重量が3600kgの、産業用の1070.5nmを放射するレーザ(図1)であり、6 ヶ月間NADEXで稼動している。このラボは、標準量産品のハードウエアを使って、ロバストなレーザ利用製造環境を開発する取り組みの一環として、このレーザを使っている。
使途は造船、岩石切断など
このレーザは、造船(移動式の切断ないし溶接)、屋外での大規模製品のリモート溶接と切断、「現場での」超硬岩石やコンクリートの切断とドリリング、原子力発電所の各種構成要素の構築、その他の重工業用の高深度溶接と切断、などの非常に重要なアプリケーション向けに開発された、とIPGフォトニクス社の市場開発マネージャー、アレクセイ・マルケヴィッチ氏(Alexei Markevitch)は語っている。
このレーザの出力は10m長、300μm径のフィーディングファイバに直接送られる。それから順々に、このレーザ出力はリモート・デリバリー式の50m長、500μm径の加工用ファイバに結合される。この加工用ファイバの出射端の光出力は101.3kW、電気電力消費量は286kWであり、完成システムのウォールプラグ効率は非常に高い35.4%である。
このレーザはそれぞれ1.4kWの光出力と1.05のビーム品質(M2)を有する90個のレーザモジュールからなる。6台の集積19:1ファイバ−ファイバコンバイナが第一のビーム結合ステージを構成し、1台の7:1ファイバ−ファイバコンバイナが第二ステージを構成する。フィーディングファイバを出射するビームのビームパラメータ積(BPP)の値は16mm×mrad以下と測定され、一方、加工用(リモート・デリバリー)ファイバを出射するビームのBPPは25mm×mradであった。
このレーザの光出力の30分以上にわたる変動は2乗平均(RMS)で0.2%以下であると、マルケヴィッチ氏は言う。さらに、出力スペクトルの非線形効果も最高出力においてさえ検出限界以下であった。このレーザのターンオン時間は40μsで、ターンオフ時間は25μsである。そして最高5kHzの速度でのデジタルまたはアナログ変調が可能である。全システムの運搬も容易であるとマルケヴィッチは指摘する。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/03/WN1-LFWJ1403.pdf