真に白色のOLEDを可能にする白金リッチポリマー

米ユタ大学の物理学者Z・バリー・バーデニー氏(Z. Valy Vardeny)が率いる研究チームは、白金(Pt)原子を有機半導体に導入することによってポリマーの発光色をさまざまに調整し、照明用の真に白色の有機LED(OLED)に向けた一歩を踏み出した(1)。既存の白色OLEDは別の技術、青色OLEDと黄色蛍光体の組合せ(独ノバレッド社)やリン光体方式(米ユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションやコニカ・ミノルタ)などを使っている。

6タイプの分光法の利用

ユタ大学、米ロスアラモス国立研究所、中国の南京理工大学から集まった研究者チームは、1つ(”Pt-1″)または3つ(”Pt-3″)の有機スペーサユニットで分離されたPt原子を鎖内に含むポリマーを合成した。続いて、彼らは、これらのポリマーを広帯域超高速、連続波ポンププローブ光変調(PM)、電界吸収(EA)、2光子吸収などの多数の非線形分光法と、吸収及び光ルミネセンス分光法(いずれも線形)を使って評価した(図1)。非常に多種類の分光法を使用した理由は、あるものは奇数または偶数の対称性をもつ励起された電子状態をプローブする一方、他は両方の対称性を持つ電子状態をプローブするからだ。Pt-1配置は紫色光と黄色光を放射する。他のバージョン、Pt-3は青色光とオレンジ色光を放射する。研究チームは、ポリマー中の白金の量を変えることによって、蛍光とリン光の放射を生成および調整し、さらには、ある1つの色の他の色に対する相対強度を調整することにも成功した。バーデニー氏は、「このポリマーは青と赤のスペクトル領域の光を放射するが、調整次第で全可視スペクトルをカバーすることもできる。したがって、これは、通常の電球に取って代わると予測される白色OLEDの活性層として役立つであろう」と語っている。

図1

図1 Pt-1形の黄色の白金リッチポリマーはレーザビームをあてると発光する(a)。その光は白色に見えるが、それはこのポリマーが白色になるように組み合わせた広帯域の紫色と黄色の組合せを発光するためである。Pt-1膜(b、上)とPt-3膜(b、下)の定常状態光変調スペクトルはそれぞれ約2.05eV(605 nm)と1.65eV(751 nm)の異なるピーク強度を示した。(資料提供:テク・バーゼル/ユタ大学)

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/02/WN2-LFWJ1401-2.pdf