OCT画質を向上させる無動の全半導体掃引レーザ

光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の画質は検出システムの進歩と波長可変垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)などの改善された光源のおかげで向上を続けている。しかし、VCSELや外部共振器レーザの機械的チューニングを排除した、1つの別の光源が急速に勢いを増している。それは、優れたOCT画質と潜在的な低コスト製造を提供する、米インサイト社(Insight)の無動全半導体掃引レーザ光源である(1)。
 ほとんど全ての波長掃引光源は機械的手段で光フィルタ素子またはマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ミラーを動かして出力波長を調整している。残念ながら、これらの機械的構成部品はヒステリシスを示し、共振器不安定性を引き起こし、あるいは雑音を発生する不要な反射を導入して、掃引光源OCT(SS-OCT)システムにおけるOCTイメージング品質を制限する。無動とは「運動の消滅」を意味し、無動全半導体レーザは電気的にチューニングされ、運動するパーツはフォトンと電子だけである。OCTにおいて、長いコヒーレンス長は、大きな作動距離を容易にし、より大きな組織特徴の体積イメージングとプローブ光出力‐組織間距離の大きな変動を許容する(図1)。インサイト社の無動レーザ(2mm長さの半導体レーザ共振器使用)のバーニア同調分布ブラッグ反射体(VT-DBR)設計は非常に狭帯域の出力を発生し、小型サイズが共振器長変動を低く抑えるので、この共振器は高いフィネスと最小化された中心波長の時間シフトをもち、数百キロヘルツの掃引反復率においてさえ220mm台の長いコヒーレンス長を可能にする。
 OCTシステムによっては、多重反射による画像劣化が起こりうる。インサイト社では、OCT画像における好ましくない信号を低減するために、「ユーザー調節コヒーレンス長」を実施している。
 100nm範囲を掃引する1310nmの無動レーザは、掃引速度を毎秒4000〜400,000掃引の範囲でプログラムすることができる。無動チューニング技術は、運動によるブラーを減らし、測定解像度を高くするために毎秒100万掃引の掃引速度も試験された。さらに、無動レーザは、掃引速度またはチューニング範囲を問わず、光周波数範囲全体の掃引を自動的に線形化する。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/02/WN3-LFWJ1401-3.pdf