フォトニクス市場は製造技術分野で拡大
日本のフォトニクス産業は情報や通信、ディスプレイなどの分野に強みを持つが、世界市場においてはこれら以外の分野の成長が予測されている。なかでも期待されるのは製造技術分野であり、ドイツをはじめとするヨーロッパや中国が同分野に台頭しつつある。
光技術の国際展示会である「Inter Opto」が2013年10月16〜18日の3日間にわたって開催された。同時にレーザー輸入振興協会が主催したJIALグローバル・テクノロジーセミナーでは、有限会社パラダイムレーザーリサーチの鷲尾邦彦氏が「レーザー及びレーザー加工技術に関する海外最新動向」と題した講演を行った。その中で鷲尾氏が引用したレポート「Photonik Branchenreport 2013」は、BMBF(ドイツ連邦教育・研究省)の助成を受けて業界団体などが共同で行ったフォトニクス産業の市場調査報告書であり、2013年5月に発行された。同報告書によると、フォトニクス産業は今後も成長し続ける見込みで、2011年には3500億ユーロだった世界市場は、2020年に6150億ユーロになる見込みである。2005年から2011年にかけては太陽電池の分野が爆発的に成長した。2020年の時点では鈍化するものの、引き続き伸びが期待されている。
また製造技術(加工用レーザ光源およびそのシステム、露光機、光学系など)や光学部品およびそのシステムの分野については、2020 年の時点では市場はまだ小さいものの大きな伸びが期待されるという。日本がとくに強みを持つディスプレイや情報技術(複写機、デジカメ、スキャナなど)の分野については、世界規模での伸びは低いと推定されている。
現在、中国の市場が非常に伸びる一方で日本は伸び悩んでいる。2011年には世界における出荷高シェアは中国と日本は同程度だったが、現在は中国がトップに立ったと予想されるという。
一方ドイツはトータルでの世界シェアは大きくないものの、特に製造分野では一定のシェアを持つ。2011年から2020 年にかけてドイツはさらに製造技術に特化していくとみられる。具体的には製造技術、医療技術および生命科学、光学部品およびシステム、計測・自動化された視覚(計測、分光、半導体検査装置など)の分野で8%程度の年平均実質成長率を予測している。いっぽう太陽電池、光源、情報・通信技術およびディスプレイについては、さらなる成長は予測されていない。ドイツは現在はフォトニクスの市場で数%しかないが、加工・製造関係に限ると十数% で、それをさらに伸ばそうとする勢いだ。実際に国際会議でも発表件数が多く勢いがあるようだ。
世界各国のフォトニクス産業に対する期待を示すのが、政府要人などによる視察である。たとえばドイツではメルケル首相が2013 年にトルンプを訪問している。フランスやリトアニアでも大統領などがフォトニクス産業の工場を視察するなど、欧州の動きが活発である。フォトニクスの中でも特にレーザ加工関係の見学が多いようだ。
加工用レーザの動向を紹介
2013年10月にマイアミで行われた国際会議のICALEO(International Congress on Applications of Lasers & Electro Optics)2013 の講演では加工用レーザの世界市場予測が発表された。それによるとファイバレーザの伸びが2012年から2013年にかけて21%増と予測されている。またダイオードレーザなどほかのレーザの増加も予測されている。これらの伸びに押されてCO2レーザや固体レーザは伸び悩む。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/02/0040industry_event_focus.pdf