自己整合型コヒーレントビーム結合器

米スタンフォード大学ギンツトン研究所(Ginzton Laboratory)のデイビッド・A・B・.ミラー氏はスタンフォードフォトニクス研究センターの共同ディレクタともに、自己整合型万能ビーム結合器と名付けた装置を作製した。このデバイスは、光検出器と電気制御式のフェイズ・シフタと可変反射器から構成され、外観はさまざまである。これらはいずれも、相互にコヒーレントな(位相と強度は異なる)、単色で、単一モード状の複数のビームを組み合せ、それらを、標準的なグローバル逐次プロセスではなく、斬新な手順を段階的にとり1つの単一モード状ビームに結合する。最も理解しやすい配置では、このデバイスは横方向にだけ変動するビームを結合するバルク光学系のアセンブリとして描写できる(図1)。ここで注目すべきは、図に示したセットアップは単一の入力ビームを4分割して、それらを結合しているが、これはまさに4本のビームを容易に結合できることを意味する。
 このデバイスは複数のフェイズ・シフタ(P1からP4)、可変ミラー(R1からR3)、および検出器(D1からD3)で構成されている。P1フェイズ・シフタは選択が自由で、出力ビームの位相シフトを必要なときにだけ利用する。ビーム結合の手順は単純であり、1回で済む。その手順は;1)P4位相の調節によるD3信号の最小化;2)R3反射率の調節によるD3 信号の最小化;3)P3位相の調節によるD2信号最小化;4)R2反射率の調節によるD2信号の最小化;5)P2位相の調節によるD1信号の最小化;6)R1反射率の調節によるD1信号の最小化である。この手順を単純なアナログ系を含む低速エレクトロニクスを使用して(4本の入力ビームの時間変動特性を保存したいときにその都度)実行する。この手順が完了すると、その結果は、常に、全入力ビームのパワーの全て(光学損失は差し引く)を運ぶ1本の出力ビームになる。

図1 自動調節型の万能ビーム結合器はフェイズ・シフタ(P1からP4)、可変反射器(R1からR3)、および検出器(D1からD3)で構成される。入力に対して直交するビームを追加するときは、追加の光学系セット(点線内)を追加する;このような場合、D1からD3の検出器はほとんど透明でなくてはならない。

複数の直交ビーム

もう1 つの配置では、このデバイスは入力アパーチャに入射する追加の平行ビームのセグメントを個々に結合する。ただし、追加のビームは最初の入力ビームセットに直交するものに限定される。この場合、「直交」は、ビームが空間的に互いに垂直であるという意味ではなく、直交偏光ビームのことでもない。この語はむしろ通信(ファイバ光学やレーダーなど)の世界で使われる方式で定義される。その定義によれば、直交ビームセットとはセット中の1つのビームがそのピーク強度に達したときに、他のすべてのビームが最低の強度(0強度)になるように、異なる割合で変調出来る1セットのことである。この条件がすべてのビームに対して瞬時に成り立つようにすることもできる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/02/201307_0014wn02.pdf