青色LEDと安価な色素で構成する白色LED

1997年に、最初の白色発光ダイオード(LED)が窒化ガリウム(GaN)と蛍光体セリウム:イットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)を使って製造された(1)。このLEDは、高効率で、高輝度であるが、製造工程に一貫性がなく、高価な無機蛍光材料を使用する。その代替法として、イタリアのパレルモ大学とスイスの半導体工場ノバガン(Novagan)の研究チームは、有機物質の光ルミネセンス、特にペリレン系色素の光周波数ダウンコンバージョンのポンプとして機能する1つの光源を使用することで、白色LEDをより簡便、より低コストで製造する方法を開発した(2)。

有機色変換

高効率の冷白色LED光はGaN/インジウムGaN( GaN/InGaN)青色LED から黄色ダウンコンバージョンを通して得られた。従来の無機色変換プロセスを使わず、青色LEDを使って米BASF社製のルモゲンペリレン系色素を励起した。市販品の色素(または顔料)は450nmの吸収極大と500nm周辺の広い蛍光ピークを持つ。
 最初に、標準的なInGaNベース青色LEDをサファイア基板上に金属有機化学蒸着(MOCVD)によって組み立てた。このLEDのピーク発振波長はCIE色度図中の色度座標(0.1477、0.0338)で表される450nmに中心があった。
 ルモゲン色素を、溶媒として酢酸エチルを使って、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)溶液に溶解させ、さまざまなPMMA分子量を試験した。サファイア基板の裸の側面にスピンまたはディップ法で色素溶液をコートし、異なる厚みのコーティングを得た。LEDを定電流(5、10、または20mA)で駆動して、発光スペクトルと色度座標を分光計と校正済みフォトダイオードで測定した。
 LED出力パラメータ(表1)を最適化するために、重量パーセントの異なる3種の溶液、2つは8%(PMMA1とPMMA2)と1つは11%(PMMA3)を調製した。溶液PMMA1とPMMA3は分子量350,000の重合体を使って準備し、PMMA2 には分子量996,000 の重合体を使った。等量の色素を各溶液に対して使用し、スピナー速度は1200rpmとした。

表1

表1 三種類のPMMA溶液を使って作製されたLEDの光束と光学効率

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/05/201305_0016wn03.pdf