ナノインプリントリソグラフィ市場に参入するショット社

ナノインプリントリソグラフィの最初の事例が文献に登場して以来、約17年経つが、今になってようやく産業界の関心が高まり始め、今月にはガラス大手の独ショット社がこの業界に参入した。しかし、彼らが語る関心、「ガラス上のナノインプリントリソグラフィ」は、他の企業が追求してきたものと多少異なる。
 この技術は、いわゆる熱エンボス加工でも実施されているが、電子ビームリソグラフィなどの従来のナノリソグラフィ技術によってマスタパターンを作製する。次にこのマスタをスタンプとして利用して、レジストコート基板上にそれを押し付ける。スタンプを除去した後、このパターンを異方性エッチング技術によって基板に転写する。
 当時米ミネソタ大学に席を置いていたスティーブン・シュー氏(Stephen Chou)とその仲間たちが権威あるScience誌に最初に投稿して以来、この技術はサブ波長構造の創成と高いスループットからなる魅力的な組み合わせを実現する一連の応用分野においてその道を見出してきた(1)。
 当初、非常に多くの研究所デモンストレーションによって、回折格子から薄膜トランジスタにいたる大面積の光学素子と電子素子の作製におけるナノインプリンティングの能力が紹介された。しかし、産業界にも基盤を得ることとなった。日立グローバルストレージテクノロジーズ社は、磁気記録用途向けのナノインプリント法の研究を行っている。とはいえ、より大きな規模でこの技術を確立する上で必須の機能密度を実現できるか否かはいぜんとして不明瞭だ。

ITRS記述

ナノインプリント技術は国際半導体技術ロードマップ( ITRS、業界のエキスパートチームによって作成されているテクノロジーアセスメント文書)にも登場し、そこでは、ナノインプリンティングが将来のエレクトロニクスを支えることになるという半導体産業界の確信が表明されている。2007 年に、日本の東芝は、この技術が現在の産業界の中心課題である22nmノードに対しても有効であることを立証した。
 米マサチューセッツ工科大学のナノリソグラフィのエキスパート、カール・バーグレン氏(Karl Berggren)は、「ナノリソグラフィの際立つ長所は、競合する他の方法に比して、より高い解像度で、より大きな面積にわたってパターンを複製できる能力だ」と語っている。「しかし、従来からのマスク製造における欠陥とコストの問題を解決しなくてはならない。ナノリソグラフィはパターンを複製するだけであり、マスタパターンはいぜんとして誰かが作らねばならない。このことは些細とは到底言えない挑戦だ」と付け加えた。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/05/201305_0012wn01.pdf