フェムト秒中間IRパルスを発生するシンプルな光源

5〜20μmのいわゆる指紋スペクトル領域を放射する中間赤外(中間IR)レーザは多くの有機材料の検出と識別に役立ち、生物学、医学、そして、とりわけ食物、プラスチック、薬品などの工業分野に有用である。中間IR波長で、かつ超短レーザパルスであれば、その用途は超高速パルスの非線形効果によってさらに拡大するであろう。
 しかし、強力なフェムト秒中間IRレーザ装置は一般に複雑である。米ロチェスター大学の光学研究所の研究者、ユーホン・ヤオ氏(Yuhong Yao)とウエイン・ノックス氏(Wayne Knox)は、フォトニック結晶ファイバ(PCF)内のソリトン自己周波数シフトを使って赤方偏移させたソリトンを発生させ、それをポンプレーザ光と差周波混合させる比較的単純なアプローチに取り組んでいる。この研究チームは、光学会(OSA)年次会議Frontiers in Optics 2012(10月14〜18日、米ロチェスター)のポストデッドラインセッションにおいて彼らの成果を発表した(1)。
 ヤオ氏とノックス氏はこの種の装置で生成される一般的には弱いパルスエネルギーを、従来のPCFの単一ゼロ分散波長( ZDW)ではなく、2つのZDWを持つPCFを使って高めている。単一ZDFはPCFをスペクトル間隔あたりの強度が最適値より低い広帯域スーパーコンティニウム発生に制限する。単一PCFにおけるデュアルZDWは、互いにスペクトル的に緻密であり、高いスペクトル強度をもつデュアルピーク狭帯域コンティニウムを発生することができる。
 その結果は平均パワーが2.4〜3mWで40MHzパルス列を発生する1つの光源になる。その波長は5.3〜6μmの範囲で同調可能である。このシステムはより高い平均パワーへと規模を拡大することもできる。研究者たちは、異なるZDWをもつPCFを使うか、あるいはPCFにテーパー加工を行いファイバ分散プロファイルを変化させることによって、他の中間IR波長範囲まで到達可能であることに注目した。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/03/201303_0018wn03.pdf