プログラマブルLED アレイで多様化する顕微鏡

クアン・チェン

プログラマブルLEDアレイを利用することで、光学顕微鏡で多様なイメージングアプローチが可能になる。暗視野イメージング、3D静止イメージング、ピクセルシフト超解像度イメージング、それに高ダイナミックレンジイメージングなどだ。

最近のほとんどの実験室用顕微鏡はケーラー照明セットアップを備えている。このセットアップは、ハロゲンまたは水銀ランプ、集光(焦光)レンズ、視野(焦光)絞りで構成されている。ケーラーセットアップは、試料全体をグレア(まぶしさ)のない均一な光強度で照射するが、制御に限界があるパッシブ照明系であると見なされている。
 この限界に対処するために、アクティブな照明システムの開発が進められている。これにより、顕微鏡の照明設計に新たな次元の光制御が追加されることになる。ここ数年で、LED技術が成熟してきており、プログラマブルLED アレイをアクティブ照明光源として用いることにより、顕微鏡イメージングにおけるイメージングの柔軟性と機能が強化できる。特に、プログラマブルLEDアレイは、明視野、暗視野、ステレオイメージング、機械的スキャニングの不要な3Dイメージング、ピクセルシフト超解像度イメージング、そして高ダイナミックレンジイメージングに用いることができる。

それぞれのイメージング

従来の顕微鏡の集光レンズは、明視野、暗視野、3Dおよびステレオイメージング用途では、プログラマブルLEDアレイに替えることができる(図1)(1)。明視野では、照明開口数(NA)は対物レンズのNAと整合が取れており、そのため、アレイ中央域のLEDを光らすだけでよい(図1、b-1)。暗視野イメージングでは、その照明のNAは、対物レンズの集光NAよりも大きくなければならな
いので、アレイエッジでLEDを光らすことができる(図1、c-1)。このス手法を使い、ヒトデ胚の暗視野画像と対応する明視野画像も図に示した(図1、b-2とc-2)。
 プログラマブルLEDアレイは、機械的スキャニングのない3Dステレオイメージングにも使用可能である(1, 2)。個々のLEDが個別の入射角で試料を照射する。したがって、取り込んだ画像のフレーム毎に、試料の個別の透視図が得られる。概念的には、そのような方式はCTスキャンと同じである。CTでは、試料を機械的に回転させて多様な透視図を得ている。

図1

図1 従来の顕微鏡の集光はプログラマブルLED アレイに置き換わる(a)。LED アレイと試料ステージとの間にレンズはない。挿入図は、LED アレイ試作品。10×10 リンベース拡散白色LED( BetluxBL-L513UWC。160°の広い照射角を持つ)。中央のLED は、明視野イメージング(b-1, b-2)用に点灯、一方エッジLED は暗視野(c-1, c-2)用に点灯している。(出典G. Zheng et a(l 1);Caltech提供)

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/03/201303_0034feature01.pdf