9μmで2Wを放射する長波長QCL
それぞれ過去最高の16%と10%の室温ウォールプラグ効率をもつ、パルスと連続波(CW)の長波長量子カスケードレーザ(QCL)が、米プラナリティカ社(Pranalytica)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームによって開発された(1)。レート方程式に基づく洗練されたレーザモデルによる予測が実験結果と一致するという事実によってこの成果は価値を増した。そしてこのモデルが将来の結果予測に使用できるという確信を研究チームに持たせることになった。
このレーザ設計は9μmを発振する非共振抽出の45ステージQCL 活性領域を持ち、量子井戸中の0.36%と障壁中の−1.10%の歪みによって歪バランスされたヒ化インジウムガリウム/ヒ化アルミニウムインジウム(In0.58 Ga0.42As/A10.64In0.36As)構造を基礎とする。この
レーザチップは窒化アルミニウム/炭化ケイ素コンポジットサブマウント上に搭載された。
このレーザの光導波路は、3μmのクラッド層中のドーピングレベルが2×1016cm−3と低く、そのことによって自由キャリア導波路の光学損失が1.1cm−1に抑制されている。活性領域との光学モード重なりは52% である。高濃度ドープ(8×1018cm−3)された1μm厚のプラズモン層がQCL 層と金属トップコンタクトとの間に配置され、これがレーザの光学モードを吸収コンタクトからデカップリングする役割を果たした。
293K において、非コートファセットを持つ3mm×10μmのレーザチップはパルス動作(500nsパルスと0.5%のデューティサイクル)で4.4W、CW動作で2.0Wの最大光パワーを発生した。閾値電流密度はそれぞれ2.1と2.5kA/cm2であり、スロープ効率はそれぞれ2.8と2.1W/Aであった。研究チームは、光パワーと効率がこれまでに報告された類似のQCLにおける結果に比べて2倍高いことに気が付いた。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/01/201301_0017wn03.pdf