低損失の圧力式PCF/SMF接続

中国の重慶大学と香港城市大学の研究者らは、フォトニック結晶ファイバ(PCF)を従来の光シングルモードファイバ(SMF)に接続するための非常に損失の低い方法を実証した(1)。この手法は、固体コアと中空コアの両方のPCFに適用可能で、(1550nmの波長における)接続損失は、固体コアPCFをSMFに接続する場合で0.40 dB、中空コアPCFをSMFに接続する場合で1.05dBである。このような接続は、最先端のPCFベースの通信およびセンサーシステムにおいて有用となることが期待される。
 接続は、古河電気工業が製造した従来型の融着接続機を使用して行われた。このような低損失の接続を実現するために、研究者らは、融着時に窒素(N2)ガスをPCFの空孔に注入することによって、PCF の特性に応じて圧力を正確に調整している。

2種類のPCF

研究者らは実験用として、デンマークのNKTフォトニクス社が提供する2種類のPCFを選択した。中空コアPCFは、バンドギャップ効果によって光を伝送するのに対し、固体コアPCFは、空気をコアのクラッドとするシングルモード方式で光を伝送する。
 どちらの種類のPCFも、モードフィールド径( MFD)が従来のSMFとは異なり、そのために通常は、接続損失が高くなる。しかし、PCFの空孔を部分的にコラプスすれば、2つの異なる種類のファイバのMFDを一致させることができる。研究者らが行った計算により、例えば、SMFの10μmのMFDに一致させるには、固体コアPCFのコラプス率を0.5〜0.6の間にする必要があることが明らかになった。
 ただし、適切に接続するには、PCFのモードフィールドサイズを滑らかに変化させる必要がある。そのためには、融着アーク放電後のファイバ温度をファイバに沿って滑らかに変化させることによって、ファイバの放電から遠い部分ほど、距離の関数としてコラプス率が小さくなるようにしなければならない。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2013/01/201301_0016wn02.pdf