高効率LEDコリメータを簡略な設計手法で実現

中国西安にある中国科学院と西安交通大学の技術者が開発した2 種類の非結像LEDコリメータレンズは、LED光学部品で一般に使用される複雑で反復的なソフトウェア設計と違って、簡略な方法で短時間で設計された(1)。同コリメータは非常に高効率で、光源から200mの距離で半径5m以内に80%以上のLED光が集束するという。

屈折レンズの外面

2種類のレンズのうちの1つ(タイプ1)は4種類の面で構成される。第1面は側面が非球面で、LEDからの円錐角度の小さい放射光を平行にするように設計されている。第2面はLEDを中心とした放物曲面で(図1)、LEDからの円錐角度の大きい放射光を集めて平行にする。第3面はLEDの近くにある球面で、光が面に対して直角入射でレンズを通過するように設計されている。第4面はラダー面と呼ばれる階段状の面で、放物曲面で反射した光は方向を変えることなく、この第4面を通過して出ていく。形状が階段状になっているのは、レンズの体積と重量を最小限に抑えるためである。
 面の設計は単純で、2つのことに気をつけるだけでよい。1つは、第1面の終わりは、LEDからの光が臨界角(その入射角を超えると光は内部で全反射する最小の入射角)で当たる面の直径を超えてはならないことである。もう1つは、階段の形状は、放物曲面の外側で反射したLED光を妨げてはならないことである。
 シミュレーションでは、1×1mmのLEDチップが波長500nm の光を放射し、10万の光束が200m 離れた照射面に写し出されている。レンズは、成形されたポリメタクリル酸メチル(PMMA)で作られており、吸収および散乱がないと仮定されている。ここで、球面の半径は“a”、LEDから中心の非球面までの軸方向の距離は“b”とする。
 タイプ1のレンズについて、a=8mm/b=8mm、a=14mm/b=14mm、a=8mm/b=20mm、a=14mm/b=20mm、a=20mm/b=20mmの5モデルを作製した。予想どおり、レンズが大きいほどコリメートスポット径は小さくなった。例えば、a=20mm/b=20mm のレンズは、200mの距離で、光線の94.9%が半径3.5mのスポットに含まれるビームを生成した。また、a=8mm/b=20mmのレンズは、200mの距離で、光線の98.5%が半径4mのスポットに含まれるビームを生成した。

図1

図1 回転対称の2種類のLEDコリメータレンズは、反復アルゴリズムを使わずに、簡略な方法で設計できる。いずれの場合もLEDが光軸を決める。右側がタイプ2のレンズの例。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/08/201208_0014wn02.pdf