空間分割多重伝送方式を支える多モードファイバアンプ

単一の光ファイバによる伝送容量の増加を目的に、高密度波長分割多重方式(DWDM:dense wavelength division multiplexing)に代わる方式として、マルチコア光ファイバまたは多モードフ
ァイバ(FMF:few mode fiber)を使用する空間分割多重(SDM:spatial division multiplexing)と呼ばれる方式が提案されている。
 ファイバの1種であるFMFは、コア口径が大きく、複数の独立した空間モードで並列データストリームを伝送することができる。理論的には、FMFの伝送可能容量はモード数に比例する。しかし、伝送距離を拡張するにはFMFアンプが必要で、しかも自由空間における光通信や高出力レーザ応用で使用されているものとは異なり、すべてのSDMチャネルが確実に最適化されるように、FMFアンプのモード依存性利得(MDG:mode dependent gain)が制御可能でなければならない。
 米セントラルフロリダ大学のオプティクス・レーザ研究教育センター(CREOL)とNECラボラトリーズ・アメリカの研究者らは、モード分割多重光通信ネットワークの実現可能性を高めることを目的
として、多モードエルビウム添加ファイバアンプ(FMEDFA)におけるモーダルゲインを制御する方法を開発した(1)。

MDGの制御

MDGは、活性ドーパントイオンの濃度プロファイルと、ポンプと信号の横強度プロファイルの重なり積分の関数となる。モーダルゲインは、ドーパントのプロファイルと信号の強度プロファイルを制御するファイバ設計によって調整することができる。添加ファイバを作製した後で、ポンプのモード内容を制御することによって、MDGを動的に制御することが可能である。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/07/201207_0016wn03.pdf