レーザ核融合、低コスト方式の実証へ ─ 高繰り返しの実用化に向けても準備

将来の化石燃料に代わるエネルギー源の一つとして期待されているのが核融合である。レーザによる方式では直接点火方式や高速点火方式などが研究されている。重要な課題の一つはレーザ媒質の熱問題である。

核融合炉では、軽い原子同士を融合させた際に放出されるエネルギーを発電に利用する。一番反応が起きやすいとされているのが、重水素(D)と三重水素(T)の核融合反応である。DおよびTをプラズマ化して衝突させる。すると中性子とヘリウムができ、残りのエネルギーが運動エネルギーなどとして放出される。
 核分裂反応に対しては以下のような違いがある。1つは核分裂ではもともとウラン原子が不安定なため、中性子を当てることによって常温でも反応が起きてしまう。また分裂と同時に中性子を2個以上放出するため、加速度的に反応が進み暴走する可能性がある。これに対して核融合反応は1億度以上でしか起こらず、連鎖的な反応が起こることもない。また放射性物質に関するハザードポテンシャルは核分裂より核融合の方がはるかに低い。

レーザ方式核融合

核融合を起こす方式には磁場閉じ込め方式と慣性方式がある。磁場閉じ込め方式はその名の通り、磁場の中に燃料を閉じ込めて高温により核融合反応を起こす。閉じ込め空間が直径10mほどのトカマク型などがある。国際協力によるITERや、日本では原子力研究開発機構 那珂研究所などにおいて研究されている。いっぽう慣性方式は、レーザや粒子線などを燃料球に照射することにより、表面の燃料を膨張させ、その反動で燃料球の内部を急速に圧縮させることによって(爆縮)、高圧・高温により核融合を起こす。磁場閉じ込め方式に対するメリットとしては、プラズマを閉じ込める必要がないため炉の構造が単純になる、高真空の設備が必要ない、燃料のサイズもミリメートル単位と小さいため設備が小型になる、爆縮の頻度を変えることによって電力の需要の時間変動に対応できるといったことが挙げられる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/06/201206_0018Introlabo.pdf