UVから近IRまでをカバーする超伝導焦点面アレイ
米カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校(UCSB)とNASA ジェット推進研究所(JPL)の研究チームは、低温マイクロ波力学インダクタンス検出器(MKID)をベースにした、紫外(UV)から近赤外(近IR)までの光子を計数する焦点面アレイを開発した(1)。MKIDアレイは光子計数の誤りが事実上ゼロであり、入射光子の時間と近似波長を決定することができるため、研究チームは、このアレイが天文イメージング用途の多くの半導体検出器(CCDなど)アレイを置き換えるであろうと確信している。
MKIDでは、入射光子は共振器内の超伝導体の表面インピーダンスを変化させ、その光子が共振周波数近くに調節されたそのマイクロ波プローブ信号の位相と振幅を変化させる。MKID アレイ内の各画素は異なる周波数に同調するように作製されていて、異なる画素からのすべての信号はプローブ信号の周波数コムを使うことによってほとんどクロストークなしで個々に回復される。
32×32の超伝導画素
研究チームは、その中の各共振器が約800mKの超伝導転移温度をもつ20nm厚みのサブ化学量論組成の窒化チタン(TiN)膜で構成されている光集中素子(OLE)設計を開発した。アレイを読み出す2つのフィードラインはそれぞれ512 個の共振器に接続され、各共振器は互いに2MHzだけ離れた4〜5GHz帯域の共振周波数を持つ。「二重蛇行」インダクタ設計によって蛇行の各部の電荷による電場を正確に相殺した。
100μm間隔の円形マイクロレンズの長方形アレイ(図1)は、光を67%のフィルファクタ(正方形レンズ素子はこれを95%まで高める)で超伝導体上に集光させた。テーパー共振器のような形状最適化によって共振器を横切る光子に対する均一な応答性を確保した。雑音温度が4Kのマイクロ波高電子移動度トランジスタ(HEMT)がその信号を増幅した。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/04/201204_0015wn02.pdf