より多様さを増すファイバレーザ技術

トニー・ホールト

ファイバレーザは、長寿命、簡略性、運用コストの削減、メンテナンスの簡単さといった利点を提供する。今や、以前はCO2 レーザを使用していたアプリケーションにも対応できるような出力をもつファイバベースの製品が数多く登場している。

最初のファイバレーザは1961年にエリアス・スニッツァーが発明し、最初の半導体ダイオードからのコヒーレント光放射(最初の半導体レーザ)は、1962年に米国のGEとIBMの2つのグループが実証した。それ以来、ファイバレーザ技術はより古い「歴史上重要な」CO2レーザ技術が達成したのと同等のレベルにまで出力を増大させてきた。平均出力50kWにおいて両者の技術の差が最も現れる。50kWのCO2レーザは小さい家屋を占領するほどだ。しかし50kWのファイバレーザは大型冷蔵庫のキャビネットに近い。
 ファイバレーザには使いやすい、保守がほとんど不要、ウォールプラグ効率が高い、運用コストが低いなどの利点があり、これらは十分に利用されている。現役のCO2レーザ技術は、その製品と技術に十分慣れて置き換えが難しく、レーザ供給者との関係が確立しているユーザのものになる。

ファイバレーザの構造

ファイバレーザは物理的に融着接続された一連のファイバ部品から構成されるため、レーザビームはファイバを出て加工中の製品に集光されるまで、光ファイバケーブルから離れることはない。この方法を光ポンピング用の半導体レーザの単一エミッタと組み合わせることで、最高のロバスト性と最長寿命をもつレーザ装置が利用可能になる。ポンプ用の単一エミッタ半導体レーザの平均故障間隔(MTBF)寿命は30万時間に達する。この数値は信頼できる統計データにもとづいているが、あまりにも長いため信じがたいとするユーザもいる。この数値が信用されない理由の1つは、おそらく通信用レーザの光ポンピングに使われている半導体レーザバーやスタックの寿命の数値、あるいはファイバレーザが登場するまでの半導体レーザスタックポンプ固体(DPSS)レーザの信頼性に対する評価の低さにあると思われる。
 ファイバレーザ技術には数多くの難題があり、例えば、後方反射に対する感受性、黒化現象やファイバの経時変化などの不思議な効果、最近では15mm以上の厚い材料を切断するときの赤外(IR)固体レーザ(ディスクとファイバの両方)とCO2レーザの性能の相違などに直面してきた。本稿では解決策を説明する紙面の余裕をもたないものの、現在これらの問題はすべて解決されている。

低出力ファイバレーザの開発

技術を垂直統合して達成される規模の経済学は、高出力と低出力の両端にある製品の大量販売を実現してきた。低出力の製品では低出力ファイバレーザの販売が閃光ランプポンプによるレーザマーカーの販売を衰退させた。数万台の低出力ファイバレーザ装置が販売され、ほとんどすべてのマーカー装置メーカーはその製品系列にファイバレーザマーカーを採用した。
 このような広範囲のレーザ出力はファイバレーザを支える科学の深い理解にもとづいているが、ファイバレーザシステムのすべてのファイバ部品が示すように、仕様の厳しい制御が必要であった。その結果、組み合わせて使用されるファイバ部品のための大きな「道具箱」の製作とファイバレーザの広範囲の出力への対応が可能になった。このことは製作されて超短パルスレーザシステムに使用される各種のファイバレーザ部品を調べれば簡単に分かる。
 この拡張可能モジュラー技術は低平均出力においてどのような分野へ向かうのだろうか? その答えはさまざまな方面におよぶ。低出力レーザにおけるすべての方面ではないが、そのうちのいくつかを述べる。

ナノ秒からマイクロ秒のパルスファイバレーザ

最近まで、標準的なナノ秒マーキングモジュールは一般のレーザマーキング用途の大部分を満足してきた。これらのレーザは同一のフットプリントで50Wまでの出力レベルを輝度の減少なしに得ることができる。
 表に示すように、高いアブレーション効率を維持するには高い平均出力と高い輝度の組み合わせが必要になる。確かに、このようなレーザには最大500Wの平均出力を最大50mJ のパルスエネルギーで得られるものもある。このレーザの興味深い新しい用途にはさまざまな膜や被覆の非常に高速な除去がある。
 出力レベル20Wの可変パルス長ファイバマスタ発振器パワー増幅器(MOPA)システムは、何年にもわたり4nsの短いパルス長で利用されてきた。最近はユーザが高度なレーザマーキングシステムに精通し、その改良が評価されている。例えば、低ナノ秒レーザを使用してポリカーボネートのほぼ完全な表面下に黒いマークを書き込む方法は、表面の破壊を最小に抑えたいという要求を満足する。このプロセスのもう1つの興味深い成果には、マークを吸収体とし、同一のナノ秒IRレーザを使用して、高分子の溶接加工を行う事例がある。
 金属への応用では「ダークマーキング」として知られる技術がある。この技術は医療器具用のステンレス鋼上に高コントラストでデブリのない耐食性マーキングを行う。この技術は「アニールマーキング」という技術的には正しくない用語を使うことが多い。この場合は低出力レーザを高い繰返し速度で使用してスポットサイズの十分な重なりを保証し、場合によっては、各種ステンレス鋼の表面を局所的に加熱して、滑らかで亀裂のない耐食性マーキングを高いコントラストで行う。この特殊マーキングは表面の破壊が許されない手術道具に対して広く使われている。
 短いパルス長とパルス継続時間はすべての場合に好ましいと認識されているが、パルス長はこれらの加工に含まれるいくつかの重要な変数の1つでしかない。パルスエネルギーとフルエンスまたはピーク出力密度のレベルも必要になるが、それは輝度が重要なことによる。このレーザ方式の次世代は、すでに1.2の低いM2(単一モードとも呼べる)、1nsまでの短いパルス長および40kW までの大きなピーク出力が得られている。ピコ秒のレーザは2012年の初めに利用可能になる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/02/201202_0018feature01.pdf