ノースウェスタン大学で開発されたソーラーブラインド深UV FPA

ソーラーブラインド領域では、大気中のオゾン層が285nmより短い波長の太陽エネルギーのほぼ100% を吸収する。この領域内の254nm、すなわち殺菌消毒に使われる低圧水銀ランプの主要な紫外(UV)輝線は人の角膜を傷つける危険性があるため、臨床環境ではこの波長を監視し、制御することが特に重要である。この深UVスペクトル領域の電流検出法には、現在光電陰極とマイクロチャンネルプレートの組み合わせ、または帯域通過フィルタを備えたシリコン光検出器アレイがある。しかし、これらの選択肢は脆弱(真空管ベース)であるか、高電圧電源を必要とし、あるいは本質的にソーラーブラインドで
はなくフィルタリングが必要なため、それぞれ複雑または非効率になる。
 背面照明型の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)ベース光検出器の進歩によって、これらの欠点の大半は解決された。しかし検出器を真にソーラーブラインドにするために高いAl含有量が必要である。それがAlGaN層の低品質の原因となりこの進歩を制限した。米ノースウェスタン大学の研究チームは有機金属化学蒸着(MOCVD)成長プロセスを精密化することによってAlGaN層の品質を改善し、Al含有量を増大させ、初めての深UV焦点面アレイ(FPA)の製造に成功した(1)。

MOCVD精密化

研究チームは、背面照明を実現するために両面研磨したサファイア基板を使って、AlNバッファ層と続くp-i-n構造のAlGaNとGaN層を成長させた。そして、これまでに280nmのピーク検出波長で動作する背面照明型センサを実証した。しかしながら、吸収層(200nm厚みのi型AlxGa1-xN)のAl濃度をx=0.36からx=0.55へと増加し、ピーク検出波長を254nmへとシフトさせた。このAl含有量の増加は、アルミニウム前駆体(トリメチルアルミニウム)と窒素前駆体(アンモニア)の間の寄生反応を強め、その結果として成長速度と材料品質の低下を招いた。研究チームは、前駆体導入を時間的に分離してAl 原子の拡散距離を増大させる、斬新なパルス原子層堆積(PALE)技術を使用した。そして、高効率のドーピングと、それゆえ高品質で亀裂のない高Al含有量のAlGaN 層を実現した。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/01/201201_0012wn01.pdf