LAMP分光器で月の大気中のヘリウムを検出

米サウスウェスト研究所（SwRI:Southwest Research Institute）、ジョンズ・ホプキンス大学、セントラル・アリゾナ・カレッジの科学者らは、NASAの月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービター（LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter）に搭載したライマンアルファ・マッピングプロジェクト（LAMP：Lyman Alpha Mapping Project）分光器を使用して、月面を覆う大気におけるヘリウム（He）希ガスを初めて分光観測した。遠隔センシングによるこの観測は、1972年にアポロ17号が実施したLunar Atmosphere Composition Experiment（LACE）による現地測定を補完するものである。
　LAMPは、月面のマッピングを目的として設計されたものだったが、同チームはその調査範囲を拡大して、月面上の薄い大気圏で見られる遠紫外線放射の観測を行い、50軌道を超える測定においてHeを検出した。Heは惑星間空間にも存在するため、いくつかの技術を適用して、惑星間空間のHeによる信号の影響を除去し、月のみに基づくHeの量を測定した。
　LAMP分光器は、121.6nmで水素のライマンアルファ放射線を検出するように調整されている。1 次スペクトル通過帯域は575〜196.5nm、スペクトル分解能は空間構成要素あたり0.18nm、空間分解能は0.29°である。質量は6.1kg、消費電力は4.5W、暗計数率は20カウント/秒未満である。地球の大気はライマンアルファ線を吸収するため、その波長において地球外の放射を検出するための機器はすべて、宇宙空間に設置する必要がある。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/12/201212_0018wn03.pdf