固体レーザ兵器の開発のペースを決める試験装置

戦略的固体レーザ兵器の開発は、数年後の実用的な移動式システムの製造に向けて、ゆっくりと着実なモードで決着がつこうとしている。1つの例は米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部における高エネルギーレーザ移動式実証機(HEL-MD)計画だ。
 この計画のマネージャ、テリー・バウアー氏は、2012年8月14日の記者会見で、「われわれの目標は、陸軍レーザ兵器システムの先行試作機を統合することだ」と語っている。彼は、この計画
は兵器システムに要求される即戦力レベルの実証後、4〜5年かかると見積もった。同日、米海軍研究事務所(ONR)は同様な艦載レーザシステムに対する業界提案を要請した。
 HEL-MD計画の挑戦は、廃熱を除去する電力系統の開発と、戦場での確実な動作を目指したレーザ、電力系統、周辺機器の堅牢化である。
 「2 つの要因がこの計画のペースを決める。それは装置とロバスト試験だ」と、HEL-MD の元請業者であるボーイング指向性エネルギーシステム社の副社長を務めるマイク・リン氏は語ってい
る。「試験は時間とお金がかかるが、主として時間だ」と付け加えた。標的はロケット、大砲、迫撃砲、無人航空機(UAV )になるであろう。

トラック搭載型レーザ

2011年ボーイング社は、制御系、ビーム指向器、捕捉追跡システム、その他の機器を標準的な陸軍戦車、「重高機動戦術トラック(HEMTT)」、最大積載量16.5トンの8×8トラック上に統合した。ボーイングは、2011年9月から12月まで続いたニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル発射場での低出力テスト用に100Wクラスのレーザを追加して、光学系が低出力レーザで作動することを証明した。
 現在ボーイング社は、商用の10kW固体レーザを取り付け中であり、バウアー氏によれば、これは高レーザフラックスで直径50cm の光学系を試験するための最も低価格で高出力のレーザである。2012 年後半に開始し、2013 年度いっぱいまで続く試験は、この光学系が標的となる可能性のある一定範囲内にビームをどれほどうまく伝送できるかを評価する。
 バウアー氏は、「10 キロワットは迫撃砲に対して十分な能力をもたないが、その出力はUAV には十分だと期待される」と言う。計画は122mmロケット、迫撃砲、UAV などの標的に対する広範な試験を要求している。ボーイング社は、10kW ビームの伝搬を支援する補償光学系の開発も実施している。
 米陸軍はこれらの試験後、そのようなレーザが、実際の兵器システムを意図した「記録計画」が要求する技術準備レベルに達したかどうかを確認する一連の高出力試験に使用するために、50kW クラスのレーザの設計を選択するだろう。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/12/201212_0014wn01.pdf