約−700の低い負屈折率を生み出す運動インダクタンス

従来の光メタマテリアルは負の屈折率を示すとはいえ、1桁以下の負の値には到達していない。その一方、米ハーバード大学工学応用科学部(SEAS)の研究チームは、イスラエルのワイツマン科学研究所と協同で、メタマテリアルにおいて負の屈折率を達成するまったく新しい方法を実証し、その結果として約−700の低い負の屈折率を実現した(1)。

運動の法則由来のインダクタンス

この分野の従来研究が基礎とした物理学は一般に磁気インダクタンスに関係する。研究チームは、代わりに、運動インダクタンスを探求した。これは電界を受けた電子がニュートンの運動の第2 法則に従って加速されることの現われである。
 研究チームの戦略の変更は発想の単純なシフトに由来する。SEASの研究者で、この研究の責任者を務める、ドンヒー・ハム氏は、「磁気インダクタンスは、ファラデーの法則に従う、変化に抵抗する電磁世界の傾向を表す。一方、運動インダクタンスはニュートンの法則に従う、メカニカルな世界の変化に対するリラクタンスを表す」と語っている。
 主著者のSEAS 大学院生ホーサン・ユ氏は、「電子が2次元内に完全に閉じ込められると、運動インダクタンスが磁気インダクタンスに比べてはるかに大きくなる。そして、われわれが達成した非常に強い負の屈折率に関係しているのは、この非常に大きな二次元の運動インダクタンスである。この次元性は凝縮物質電子の挙動に深く影響を与え、その1つが運動インダクタンスである」と語っている。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/12/201210-11_0016wn03.pdf