甦ったレーザウラン濃縮

米GEエナジー社は昨年完了したレーザウラン濃縮サイレックス(Silex)工程の試験結果に満足して、この工程に基づく大規模な核燃料プラントを建設したいと望んでいる。これは、一度はほとんど死んだものと諦められていた分子レーザ同位体分離技術の驚くべき復活である。しかし、批判的意見をもつ人々から核拡散の可能性に関する疑問が提起され、この計画は米原子力規制委員会(NRC)の承認を受けなくてはならなくなった。結論は2012年の半ばに出る予定だ。
 米ロスアラモス国立研究所は、原子炉燃料を製造するためにエネルギー効率の高い工程を探求しており、まず1970年代に分子濃縮技術を開発した。それは16μmレーザ光源を使用して核分裂性物質のU-235を含む六フッ化ウラン(UF 6)分子を選択的に励起する方式だ。しかし、米エネルギー省は結局、競合する原子蒸気レーザ同位体分離(AVLIS)工程を選んだ。これは気相U-235原子の選択だ。ウラン蒸気は問題を起こしたが、より成熟した銅蒸気レーザポンプ色素レーザを使用し、核兵器用のプルトニウムの精製にも適用できるという理由で、AVLISが勝利した。しかし、米国濃縮公社は1990年代にAVLISを断念した。
 オーストラリアの科学者マイケル・ゴールドワーズ氏とホルスト・シュトルーベ氏は1996年から2002年まで米国濃縮公社から支援を受け、分子濃縮のバリエーションであるサイレックス法を開発した。詳細は機密情報と同等に厳重に管理されているが、それは、U235を含むUF6分子の16μm励起と、続く励起分子からフッ素原子を解放してガス状のUF 6から沈殿した固体UF5を生成する第2の励起ステップからなると推定される。彼らはこの工程を商用化する目的でオーストラリアにサイレックス・システムズ社を設立し、その後、そのライセンスをGE社に譲渡した。GE社は日立製作所と共同でグローバル・レーザ・エンリッチメント社を創立した。
 2年後にロスアラモス国立研究所のジョン・ライマン氏によって公開された2005年技術評価では、当時最新のサイレックス技術が実用的な濃縮には不十分であると警告を発した。このシステムは高圧のパラ水素セルを使ってパルス炭酸ガスレーザの10.8μmラインを16μmへとシフトさせたが、全効率はわずか約0.25%であった。さらに悪いことに、繰り返し周波数がたった50Hzであり、供給ストリームにおいてUF6の99%が未加工のまま残った。

3.6%までU-235を濃縮

これらの限界は克服されたようだ。NRCに提出されたGE‐日立文書は6段階からなる大規模な原子炉燃料プラントの建設計画を明らかにした。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/05/0014wn02.pdf