原子を探るサブフェムト秒のスカルプテッド光トランジェント

アト秒(as)フォトニクスは急速に発展しているツールであり、科学者がこの極端に短い時間スケールで物質とエネルギーの挙動を研究するのに役立つ。今や、最初に80asの光パルス発生に成功した研究チームは新たなマイルストーンに到着した。それは、0.3~0.9PHz周波数範囲をカバーする2.4fs時間帯内の「光トランジェント」の整形とアト秒サンプリングだ。光トランジェントは 1サイクルまたはせいぜい数サイクル内に完全に閉じ込められた非反復性のスカルプテッド(彫刻するように整形された)波形である。
 現在、カスタマイズされたフィールド展開とサブフェムト秒の立ち上り時間ならびに閉じ込めをもつオンデマンド波形がペタヘルツスケールのフィールド合成によって可能になった。これらの整形されたトランジェントは、物理学者が原子内の電子の振る舞いを詳細に調べるのに役立つ。

3つの光チャネル

これらのトランジェントを生成する第一段階では、25fs幅の780nm光パルスをネオンガスが充満する中空コアファイバ内を伝搬させることによってスーパーコンティニウムを発生させる。ネオンは3.5バールまで加圧されているため、スペクトル広がりを引き起こし、330~1100nm(0.6PHz以上)帯域幅にわたって比較的均一なエネルギー分布を生成する。実在のトランジェントを創出するにはスーパーコンティニウムの複数部分を別々に操作する能力が要求される。チャープ多層ミラーを使って、スペクトルを3つのチャネル、すなわち350~500nm、500 ~700nmおよび700~1000nmに分割する(図1)。ミラーチャープは、そのパルス内のチャープと他の光学系によって導入されたチャープを補償し、そのパルスをそれらの帯域制限幅へと圧縮する。チャープ、キャリアエンベロープ位相、遅延、パルスエネルギーなどはすべて調整可能であり、そのことがトランジェントを微細に整形する能力に導く。

図1

図1 フォトニックシステムは、原子内の電子の挙動を探るために使用するカスタム成形されたサブフェムト秒光トランジェントを生成する。トランジェントを生成するには、まず、スーパーコンティニウムを3つのチャネル(青、黄、赤)に分割する。各チャネルのビームパラメータを、その光を再結合(白)させる前に操作する。(資料提供:E・グーリールマーキス氏)

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2014/05/0012wn01.pdf