室温で青色と緑色を発光する電気ポンピングGaNベースVCSEL

日本の日亜化学工業の研究チームは初めてとなる電気ポンピング式の窒化ガリウムインジウム/窒化ガリウム(InGaN/GaN)ベースの青色と緑色発光の垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)を実証した。青色VCSELは閾値電流1.5mAと閾値電圧3.3Vをもち、451nmの連続波(CW)光を0.70mWで放射する。また緑色バージョンは閾値電流22mAと閾値電圧6.3Vをもち、503nm波長のパルス光を推定最大出力0.80mW以上で放射する。両レーザとも室温で動作する。VCSELは量産すればコストは一般に低くなる。青色と緑色の発光バージョンがレーザピコプロジェクタなどの小型フォトニクスデバイスの広範な応用を助ける日も近いであろう。

c面GaN基板

青色と緑色のVCSELはいずれも、一対の分布ブラッグ反射体(DBR)の特徴を持つ共振器をベースにしている。これらのレーザはc面GaN基板上に組み立てられ、5つのInGaN/GaN多重量子井戸(MQW)を含む。そして、それらはシリコン基板上にボンディングされた(図1)。青色と緑色レーザ放射の開口径はそれぞれ8と10μmであった。
 GaNベース半導体では、緑色出力の実現は青色出力に比べて常に困難である。これは緑色用にはインジウムが高い割合で必要になり、結晶構造に歪みや欠陥が発生しやすくなるためだ。この理由により、日亜の緑色レーザはまだCW光の放射には至っていない。このことは、緑色デバイスの閾値電流密度28kA/cm 2が青色レーザの3.028kA/cm2に比べてはるかに高いという事実も説明している。

図1

図1 2つの分布ブラッグ反射体(DBR)が青色または緑色発光の室温電気ポンピングGaNベースVCSELの共振器を構成する。活性領域は5つの多重量子井戸(MQW)で構成され、二酸化ケイ素(SiO2)層、導電性酸化インジウムスズ(ITO)によって電流開口を作り出している。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/11/1111wn03.pdf