「自動化」状態を実現する方形内と円形内のエネルギー試験

ケント・ウィード、トニー・ホロウェイ

方形内と円形内のエネルギー(EE)試験法はしばしば見過ごされるが、このような開口内部の光エネルギーの割合を定量化する試験法は、干渉法やMTF試験装置に比べると、より高い精度、応用の柔軟性および費用対効果を確保できる。

光学技術者の多くは単一波長干渉計や多色変調伝達関数(MTF)試験から集めたデータに依存して光学システム性能を定量化し、顧客の設計仕様の遵守を保証している。しかしながら、方形内と円形内の光エネルギーを定量化する試験法は多くの場合に見過ごされているが、高い測定精度、応用の柔軟性および費用対効果を得ることができる。このような方形内/円形内エネルギー(EE)試験は、とくに測定する方形内や円形内のエネルギーの割合が焦点内の全エネルギーよりも小さい点光源の画像を形成する光学系の性能評価の重要な手段になる。

EE試験の利点

EE試験は光学系の焦点面にある焦点内部のすべての光よりも小さい(しばしば画素サイズの)開口内部の光量を簡単な方法で測定する。実用的に言うと、EE値が高いほど、焦点内部の光は強固に集束される。
 EE試験法を利用すると、光学技術者は広いスペクトル領域での光学系の試験が可能になり、通常は必要となる特定波長の干渉計に対する高額の投資が不要になる。この試験法は新しくはな
いが、コストが高く、複雑で、汎用性に難点があった。しかし、最近の計算制御自動化を用いたハードウエアとソフトウエアの進歩によって、現在の光学技術者はEE測定を容易に使用できるようになり、焦点通過EEと焦点深度、像面湾曲と像面傾斜、ボアサイト、視野(FOV)、ゆがみ、有効焦点距離(EFL)、フランジ焦点距離(FFL)、相対照度、一般的焦点のサイズと品質などのレンズ光学系の性能パラメータをわずか 1回の自動化された試験から決定できるようになった(p.19の「EE試験データから得られる光学性能パラメータ」を参照)。

試験装置

EE試験装置には適切な波長の光源が含まれ、その光には有限距離のコリメーションまたは結像が行われる(図1)。この試験を測定レンズ系のすべてのFOVに対して適用するとすれば、光源とレンズとのどちらかを用いた相対位置決めが必要になる。このことは二つのチップ‐チルト型マウントまたは二つのロータリーマウントを使用して試験レンズを動かすことで容易に実行できる。また、自動計算制御による自動ステージを試料台に使用すれば、必要な多重測定も可能になる。
 EE試験は照明光源の選択によってさまざまな柔軟性が得られる。EE法は狭帯域試験も実行できるが、色収差を対象にしたマルチスペクトル試験に使われることも多い。代表的な光源には白色光、帯域通過フィルタ光、狭帯域フィルタ光、レーザ光、モノクロメータを用いた光などが使われる。当然のことだが、検出器には十分な光が到達し、高い信号対雑音比(SNR)が確保されなければならない。試験装置にチョッパやロックイン増幅器を使用すると、試験装置のSNR が大幅に改善される。
 EE試験装置の代表的な配置は、レンズと軸回転ステージを接続するマウントが設計上の要点になる。多重レンズを試験し、そのボアサイトが重要になる場合は、この接続を動的にしてビームアライメントを行う必要がある。同様に、FFL測定が必要になる場合は、軸位置決めの較正を考慮しなければならない。

図1

図1  方形内/円形内エネルギー(EE)試験の装置を示している。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/11/1111feature01.pdf