印刷された大面積でフレキシブルな3D負屈折率メタマテリアル
三次元(3D)の負屈折率メタマテリアル(negative-index metamaterial:NIM)は、逆ドップラー効果、電磁ブラックホール、大騒ぎになった透明マント(不可視のマント)など、非常に奇妙な光学系を可能にする特異な性質を持っている。さらに、可視と近赤外(NIR)のスペクトル領域用の3D光学NIMは斬新で有用なレンズ、共振器、その他のフォトニックデバイスの基礎になりうるであろう。しかし、これらの材料は、通常、誘電体と金属でできた複雑な周期ナノ構造からなり、初期実験以外の何かに利用するほど十分な大きさに拡大することが事実上不可能であった。
しかし、この問題は大面積の3D多層光学NIMを作る印刷工程の出現によって緩和され、これまでに最大8.7×8.7cm正方形が得られた。この工程は、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、アメリカ海軍NAVAIR海軍航空戦センター兵器部門、および米サンディア国立研究所の研究チームによって開発され、高品質なメタマテリアルをリジッドもしくはフレキシブル基板に転写させることができる。これらのメタマテリアルはNIR域で大きな負屈折率を示した。
超高スループット製造
まず、ナノインプリントリソグラフィーによって作製された高分子マスクをインプリントモールドとして使用し、必要なパターンをシリコン基板上に異方性エッチングによって作り出した。次に、このパターン形成基板上に、スタンプとしての役割を果たす、複数のメタマテリアル層がコーティングされた。最終的に、このスタンプを使って目的の基板上にメタマテリアル構造を印刷した。このインプリントモールドは多数のスタンプを作製するのに十分な耐久性を持ち、その各々が多数回の印刷に使用可能であった。1回の印刷ごとに105×105単位格子以上の面積を形成できるので、この技術のスループットは極めて高く、集束イオンビーム加工に比べて108倍であった(図1)。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2011/10/1110wn01.pdf